ドラフト裏話「え、調査書1枚だけ?」阪神育成3位に涙ぐむ女性、早川太貴も目を赤くして「悔しいと思いますが」くふうハヤテ会見に記者が密着
ドラフト会議の中継では華やかな1位指名選手の笑顔、ストーリー性を持つ選手が特集される。その一方で長時間にわたって指名を待つ、数多くの選手がいる。育成指名を受けた2選手の会見場の“テレビに映らない”現場レポートをお届けする〈全2回〉 【貴重写真】「ほ、細いのに…」大谷17歳、甲子園で衝撃の特大HR。「み、見たことないわ」岡田15歳と球児17歳時。ガリガリな柳田、ヤンチャそうな学ラン姿の張本…名選手160人超の高校時代を見る
「フタを開けたら1人だけだったんです」
「え、1枚だけ?」 静岡市清水区のくふうハヤテベンチャーズのドラフト指名予定選手の記者会見場で、筆者は絶句した。 ドラフト会議の日は、毎年有望選手のいるチームの会見場に行く。昨年は独立リーグ、四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックスの会場に行った。 会場では、球団からの調査書が来ている(=ドラフト指名される可能性がある)選手の資料が配布される。徳島は毎年、10枚近い資料が配られたのだが、くふうハヤテはエース、早川太貴ひとりだった。資料の紙が1枚、テーブルに置かれていた。 「スカウトの方は3~4人くらいの選手に関心があったようなので、もっと調査書が来るかと思ったんですが、フタを開けたら1人だけだったんです」 くふうハヤテベンチャーズの池田省吾社長はこう話した。 このチームは昨年、NPBがファームに2チームを加えて、イースタン、ウエスタン両リーグのチーム数をそれぞれ偶数にするという方針に基づいて、オイシックス新潟アルビレックスBCとともにリーグに参加した。
シーズン中には西濱がヤクルトと育成再契約したが
筆者はチームの立ち上げ前の記者会見、参加決定の会見からトライアウト、春季キャンプ、開幕戦と見てきた。静岡市清水区を本拠とするが、チームの編成上ウエスタン・リーグに参加することになった。これによって福岡県筑後市のソフトバンクファームをはじめ、広島、兵庫、名古屋と長距離の遠征をすることになった。 オイシックス新潟は2007年以降、独立リーグのBCリーグに加盟する球団として活動してきたが、くふうハヤテはイチから立ち上げたチームだ。池田社長は長く独立リーグの運営に携わり、経験豊富ではあるが、立ち上げからリーグ戦運営の苦労は、並大抵のものではなかった。 「独立リーグは週末を中心に、年間70試合程度しかしません。選手は休む余裕がありますが、ファームリーグは120試合もします。とにかく毎日毎日試合で、移動も頻繁にあるし、これが大変でした」 池田社長はこう語る。今季の成績は28勝84敗8分、勝率.250で最下位。そんな中で、チームは「地域貢献」とともに「再生と育成」を目標に掲げた。 「再生」とは、NPBでプレーして戦力外になり、くふうハヤテに入団した選手を、再び実力をつけてNPB球団に送り出すこと。これはオリックスから来た西濱勇星が、今季4勝8敗ながら109回を投げウ・リーグ6位の防御率3.47を記録し、育成としてヤクルトと契約したことで、まずは目的を果たしたと言える。 あとは「育成」。このチームに入団したアマチュア選手が、NPB球団のドラフト指名を勝ち取ること。
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