「経済的な自立は譲れない!」と葛藤。自分の気持ちがコントロールできなくなった育休中。たどり着いた「ワーママとしての生き方」とは
様々な価値観が多様化する昨今、「家族像」もそれぞれに唯一の在り方が描かれるようになりつつあります。この「家族のカタチ」は、私たちの周りにある一番小さな社会「家族」を見つめ直すインタビューシリーズ。それぞれの家族の幸せの形やハードル、紡いできたストーリーを見つめることは、あなた自身の生き方や家族像の再発見にもつながることでしょう。 【データ】共働き世帯と専業主婦世帯、割合は? 女性が働きづらさを感じている原因は? 今回ご紹介するのは、都内在住・40代前半のワーキングマザー、ゆうさん(仮名)です。 「経済的自立」を強く意識しキャリアを積み上げ、結婚後は2人の息子に恵まれたゆうさん。現在は夫婦ともに、互いの理想の生き方を実現すべく独立・起業を叶えました。――そう聞くと「順風満帆」に思えますが、出産直後はゆうさん自身が人生迷子に陥ったことも。さらに1年ほど前からは、小学校への登校が困難になった息子さんに伴走する日々を送っています。 移り変わるライフステージの中で、夫婦関係はどのように変化してきたのか?我が子が困難を抱える中、それをケアし支えるためのヒントとは? ゆうさんご一家の「家族のカタチ」について、お話をうかがいました。 【家族のカタチ #5】
「結婚してもキャリアは譲れない」経済的自立へのこだわりは苦労した母の教えがあったから
「絶対に経済的に自立していたい!」――そんな価値観を強く抱いて生きてきたと話すゆうさん。背景には、母の影響があるといいます。 「母は終戦の年に生まれ、父親を戦争で亡くしています。戦後の過酷な状況の中、母の母、つまり私の祖母が女手一つで苦労して3人の子どもを育て上げた、と聞かされてきました。だからこそ『経済的に自立していることは、自分と自分の家族はもちろん、その周囲の人までも助ける力を持つことでもある』という母の考え方が、私の根っこに自然に根を張ったのでしょうね」。 さらに、ゆうさんが社会に飛び出したおよそ20年前は、いわゆる就職氷河期。 「当時は『このチャンスを逃したら試合終了』といっても過言ではない心境でした。その危機感は今も変わらず強く私の心にあります。経済的自立へのこだわりに加えて、この危機感ですから……私にとってキャリアは、未婚であろうと既婚であろうと手放せないものでした」。