「自治体は出動要請するだけ」「責任はすべて猟友会」…ベテランのクマ撃ちが訴える、市民の生命を守らない国と警察の罪深さ
趣味で狩猟免許を取っただけなのに
繰り返しになりますが、我々は、自分たちの趣味のためにお金と時間を使って狩猟免許を取ったのです。初めから有害獣の駆除をするために取得したのではありません。 しかも、猟友会の会員は民間人です。行政に雇われているわけではなく、あくまで要請に応じているだけなのです。法律の上でも曖昧なまま放置してきたツケがいま出ているのだと思います。 国や警察が市民の生命を守ることが使命であるならば、駆除までの道筋を整理すべきなのです。そうでないと、繰り返されているクマ被害から何も学ばないままになってしまう。 先日、猟銃所持取り消し訴訟の高裁判決を受けて北海道猟友会は、今後自治体からのクマ駆除の要請を断ることを検討していることを示しました。裁判官の方たちがどのような理解をされて結論を導いたのかは分かりませんが、時代に逆行した残念な結果でした。逆転敗訴となった結果、猟友会会員が考えることは「これでクマ駆除はもうできねぇな」の一言です。 地域の安全のためにクマの駆除はしなければならないと思いますが、何か問題があるとすべてを我々のせいにされてしまうようでは、協力したくても無理です。これは北海道だけの問題ではなく、国内すべてのクマ出没エリアの問題でもあります。 都会の方には分からないかもしれないが、高齢者しかいない田舎では、自分が食べるための小さな畑にクマ避けの高い柵を立てたり、夕方以降はできるだけ家から出ないように心がけているのです。それだけクマの脅威というのは身近な問題なのです。
終わらない人的被害
「何年かしたら人間が檻に入って生活するようになるかもしれんね」と、本気と冗談とが入り混じった会話などが、普通に交わされていますよ。 今回の判決が与える影響は決して小さくはありません。すべての法律は国民の生活のためにあるはずです。我が事として考えて欲しいと思います。 ……・・ ベテランのクマ撃ちの証言は以上の通りである。 秋田県、青森県、岩手県の県境をまたいだエリアは、まさに山塊と評すべき広大な地域である。人の目や手の届かない領域にクマをはじめ多くの野生動物が暮らしている。 今年はブナの実やドングリの生育が例年よりも良いと聞く。クマたちはそれら栄養価の高い餌をせっせと食べ、脂肪を蓄え冬眠への準備をしているのだろう。人的被害が例年に比べ少ないのは関係機関の奮闘努力もあるが、山に餌が豊富にあることも理由の一つだと付け加えておきたい。 餌が潤沢にある翌春には、母グマが産む子グマの頭数が増える。複数頭の子グマを連れた母グマは防衛本能により、自らの脅威となる「敵」に対して襲いかかる。 それが、子グマを食い殺そうとする雄グマであっても、山菜採りの人間であっても、区別はない。また、地域全体の頭数が増えると、一部のクマは縄張りから追い出され、餌を求めて山から山へ移動する…。 今後もクマによる人的被害は続くだろう。自らが自らの首を絞めることのないよう自然との関係を今一度考え直したい。 【つづきを読む】『クマの攻撃で鼻が半分取れ、「顔中血まみれ」の警察官が「助けてください」と…秋田でクマに襲われ死亡した男性の「壮絶すぎる捜索現場」』
野田 洋人
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