「自治体は出動要請するだけ」「責任はすべて猟友会」…ベテランのクマ撃ちが訴える、市民の生命を守らない国と警察の罪深さ
今年より来年のほうが「危ない」
杉は冬でも落葉しません。密に植樹された杉林の地面には雪が積もらないため暖かく、クマにとっては格好の住処となっています。さらに、切り出し、運び出しをしやすいことから、集落の近くや道路沿いに杉林は広がっていることが多く、里に出てくる多くのクマは杉林を巣にしてそこから里に通ってくることになります。 そこで育ったクマは決して山奥には戻りません。そこで繁殖したクマたちは餌の取りやすい里山に近い場所を中心に活動をするのです。そして山奥には少数の大型の個体が居座ることになります。 夏の終わり頃からの主な餌はブナの実とドングリになります。それらが豊作であればクマは冬眠まで食べ続けます。特にブナの実は脂肪を蓄えるのに適しています。昨年は凶作でした。奥山に餌が不足しているものだから、餌を巡って弱い個体はどんどん里の方に締め出されました。そういうクマは里に出て畑の作物を狙うことになります。 夏の時期ですと蕎麦とトウモロコシです。最近では米も食べるようになりました。今年も同じ蕎麦畑に10頭近くのクマが何回も集まったことがありました。来年以降もそういった光景がそこかしこで見られるはずです。 今年のブナの実は昨年と比較すると豊作のようです。それならば里に出なくて良いではないかということになりますが、豊作の翌年は子グマの頭数も増加します。普通なら2頭のところ3頭の子グマを産むこともあります。 まだドングリの生育状況は把握できていませんが、豊作となるとさらに頭数が増加することは間違いありません。来年の春から増えた頭数のクマが餌を求めて活発に移動するようになります。さらに子グマを狙って雄グマがあたりをうろつくことになるでしょう。来年の山菜とタケノコの時期が、今年以上に危ないということになるのです。
場当たり的な対応しかできない行政
7月に入ってタケノコの時期が過ぎると、山に入る人も減ってきます。だからその時期の被害は少ないのです。問題は秋のクマです。クマは冬眠を前に餌を求めて行動半径も広がります。 また、一冬越した子グマも、体重が増えて盛んに動き回ります。釣り人や登山客、キノコ採りと場所が重なることから、出会い頭にやられることが想定されます。統計上もクマの被害が一番多いのは秋になります。 頭数が増えたことにより、これまで安全だと思われていた観光地の遊歩道や湖畔の周辺、登山道までもクマが住み着くことになります。何らかの対策をしないと三県の県境などは気楽に人が訪れることができなくなるでしょう。観光地としての価値も落ちてしまうわけです。 里の周辺にはクマの餌が豊富にあります。クマが好む栗の木はなぜか山奥にはありません。行政の指導で里山近くの栗の木を伐採しているようですが、そうなればさらに餌を求めて人家の周囲や畑に出てきます。 行政の場当たり的な対応には辟易します。里の近くを住処にしているクマはそこで繁殖を繰り返し、食べ物を求めて里の田畑を荒らします。決して奥山には行かないのです。今後、クマの目撃件数が増えていくことは間違いありません。
【関連記事】
- 【つづきを読む】クマの攻撃で鼻が半分取れ、「顔中血まみれ」の警察官が「助けてください」と…秋田でクマに襲われ死亡した男性の「壮絶すぎる捜索現場」
- 「遺体はすでに硬直し、足は曲がったままで…」秋田でクマに襲われ死亡した男性の「第一発見者」が明かす「恐怖の現場」
- 「全身に何十箇所もの咬み傷」「頭蓋骨は損傷」「遺体は包帯でグルグル巻き」…秋田の「人喰いグマ」に遭遇した男性が明かす「戦慄と無力感」
- 「熊出没注意」看板を無視…!クマに喰われる危険を顧みず、山菜を採りに行く人たちの“知られざる正体”
- 秋田の山中に出没した「人喰いグマ」の「ヤバすぎる正体」…!報じられない地元の証言「どう見てもツキノワグマじゃねえ」「デカすぎる」