「自治体は出動要請するだけ」「責任はすべて猟友会」…ベテランのクマ撃ちが訴える、市民の生命を守らない国と警察の罪深さ
ハイブリッド熊と稀熊
何もかも人間の所業なのです。クマの居所を奪って家を建てる。人間が食っていくためにクマの餌になる木を伐採して植林をする。クマ牧場もそうです。儲けを見込んでよそからヒグマを連れてきたはいいけれど、経営悪化で餌を与えられず餓死させようとしたなど、人間はどこまで冷酷なのかと思います。 そういう飼い方をしているから、ツキノワグマとヒグマの交雑種(ハイブリッド熊)の話が出るのです。それだって全部人間のせいなのです。ハイブリッド熊の話を信じない人も多いようですが、痩せ細ったクマよりも客受けするのはコロコロ太った子グマです。お客を寄せるために、施設内で無理な繁殖を繰り返していたという話もあるのです。 逃げ出したクマが繁殖したのではなく、施設内ですでに繁殖をしていた可能性もあるのです。周囲の山々でそれまでいなかったような大型の個体が増えてきたことを考えると、絶対にいないとは言い切れません。 先達から聞かされた稀熊(マレグマ)という個体があります。大きさ、凶暴性、それまでの習性と違うことなどから、畏れをこめてそう名付けられました。そういった稀熊は今も山のどこかで生息しているのだと思います。
なぜ国は対策に動かないのか
そもそもが、クマの住処だった森を人間のエゴで開発して壊しているのが現状です。人間も生きていくためには必要なことなのかもしれないが、加減というものもある。 十和田湖周辺には、自然を売り物にして高級なホテルや旅館、別荘が建っています。今年も多くの観光客が訪れていました。その周囲にはジッと人間を見ているクマがいるのです。 はっきり言うと、絶対にクマの被害にあわない対策など、ないのだと思います。誰かが必ず被害に遭う。そうして初めて県や国が騒ぎ出す。しばらくすると忘れてしまって、再び被害が出る。その繰り返しなのです。 政府は十和田湖周辺にホテルを誘致すると発表しました。あの周囲にはクマがどれだけいるのか分かっているのでしょうか。人気観光地でもある奥入瀬渓流の周辺には、クマの通り道がいくつもあります。 カネ儲けに目が眩んでクマの被害のことを軽く考えすぎているのです。東北の山は手付かずの場所がいくらでもあります。どこに、どれだけ、どんなクマがいるのかなど、正確な個体数などは誰も分からないのです。山奥にはまだ人が出会ったことのないクマがいるのです。 昭和の後半の頃、1年にクマ1頭獲れればいい方でした。猟師も多かったが、クマの数も知れていた。でもそれが今では、箱罠に蜂蜜でも仕掛ければほぼ間違いなく入る。それだけ増えているのです。 やはり、国が動くべきなのです。でも何もしない。これからもクマは人里に出てきます。そんな時にまた猟友会に連絡をして出動要請をして、自分たちは後方の安全な場所に陣取って、責任は全て我々に被せてくる。
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