連携強化などを協議 奄美・沖縄産業交流会議 那覇市
鹿児島県の奄美大島商工会議所と沖縄県の南西地域産業活性化センター(NIAC)は28日、沖縄県那覇市で「奄美・沖縄産業交流会議」を開いた。行政関係者や在沖奄美出身者、民間事業者など約40人が参加。3月末に成立した改正奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)における沖縄との連携強化の考え方や、鹿児島県と沖縄県で事業費を折半する「奄美・沖縄連携交流促進事業」の実績など、両地域の産業交流に関わる各種施策の現状を共有し、今後の展望を話し合った。 会議は、NIACが奄美大島商工会議所などと共同で毎年実施している「奄美・沖縄 経済交流事業」の一環。両地域の交流促進による持続的な経済発展を目的に2006年度に始まり、新型コロナウイルス禍の中断を経て23年度に再開、今回で14回目となった。前回までは産業別テーマに基づき専門家が登壇するフォーラム形式だったが、今回は参加者らが直接意見交換する会議形式で行われた。 前半は、奄美群島広域事務組合から、世界自然遺産登録や「奄美群島成長戦略ビジョン2033」の策定、23年6月に締結された「沖縄・奄美群島との交流の拡大に係る連携協定」の締結など、沖縄との連携に関する直近の大きな動きや経緯について説明があった。 また、奄美群島振興交付金を活用した農林水産物等輸送コスト支援事業や、航路・航空路運賃の軽減事業が鹿児島―奄美間だけでなく、奄美―沖縄間も対象となったことが紹介された。 続いて、沖縄県側から「沖縄・奄美連携交流促進事業」の概要や実績について説明があった。鹿児島県と事業費を均等に負担し、那覇―奄美大島間など航空路4路線、那覇・本部―奄美大島間など航路8路線の運賃を軽減するもので、事業の成果として23年度の旅客者数が合計13万1050人と、前年度に比べ18%増えたことなどが報告された。 このほか、奄美・沖縄の自然や歴史文化、食などの情報をまとめ、一体的な地域ブランドとして魅力を発信するウェブサイトや観光パンフレットの制作、県外の消費地で開催する「奄美・沖縄フェア」など、観光客誘致へ向けた連携施策が紹介された。 会場からは、「子どもたちの交流にも力を入れてほしい」「修学旅行の行き先を鹿児島ではなく沖縄にするのはどうか」といった教育面での連携施策充実を求める声が相次いだ。 また、沖縄名瀬会の東時生会長が、奄美・沖縄間の移動コストについて「軽減対象を群島住民に限るのではなく、沖縄から広く一般の人が奄美に安く行けるようにしてほしい。それでこそ沖縄・奄美の活性化ができるのではないか」と呼び掛けた。 後半は、空港やホテルで奄美・沖縄の観光情報を発信するエアポートTVネットワークジャパン(濱田太代表)の取り組みや、南西テレワークセンター(南郷辰洋代表)の「農産物の市場拡大モデル」、沖縄ツーリストの東良和会長が代表理事を務める「どさんこしまんちゅプロジェクト」など、民間の連携事例が紹介された。