米国債相場、総額1250億ドルの入札が試練に-雇用統計など受け上昇後
(ブルームバーグ): 米労働市場の需給緩和を示す最初の明確な兆候が見られ、債券トレーダーは歓迎した。だが、それはトレーダーがずっと望んできた真の意味での全般的な相場上昇を促すのに必要なもののほんの一部に過ぎない。
4月の米雇用統計で非農業部門雇用者数や平均時給の伸びが予想を下回り、成長鈍化の新たな兆しが示されたことで、3日の米国債相場は上昇した。1日にはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げの必要性に否定的な見解を示唆したことなどで相場は既に上向き始めていた。
パウエル議長、年内利下げの期待残す-インフレ圧力緩和の確度は低下
投資家は現在、年内金融緩和の賭けを慎重に積み上げており、米金融当局の政策に敏感な米2年債利回りの低下が市場を主導する形となっている。このように米経済の一部に減速の兆候があるものの、インフレは引き続き根強い。
こうした現実によって、米金融当局の行動の余地は制約される可能性があり、債券利回りは最近のレンジ内にとどまることが考えられる。
さらに、今週は四半期定例入札の一環として米10年債と30年債の計670億ドル(約10兆2900億円)に上る入札が予定され、一部投資家の間で人気が低下した期間が長めの米国債に対する需要を試すことになる。このほか3年債580億ドルの入札も行われる。
ウェスタン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、マーク・リンドブルーム氏はパウエル議長の発言と雇用統計について、「市場に安堵(あんど)感をもたらした」としつつも、債券利回りの50-100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下につながると考えられるものではないと指摘した。
リンドブルーム氏は期間が長めの米国債に比べ、2年債や5年債など期間短めの国債の方がアウトパフォームするとみている。
1日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に記者会見したパウエル議長は現行の政策に関し、最終的なインフレ抑制のために十分抑制的だと述べるとともに、雇用創出や賃金の面で弱い兆候が見られれば、金融当局として反応する方針を投資家にあらためて示した。