TikTok Shopでの「最初の30日間は気を引き締めて」。バグが多く不透明なプラットフォームに対するブランドの声
「煩わしい」AI
TikTok Shopの売り手やエージェンシーにとっての最大の不満のひとつは、AIを活用したアルゴリズムだ。このアルゴリズムにより、商品がTikTok Shopの利用規約に違反している、または規制製品カテゴリーに該当するというフラグが誤って立てられてしまうことがしばしばあるのだという。 前述の匿名のエージェンシー幹部は、TikTok Shop上で50万ドル(約782万円)相当を売り上げたクリームについて、同社にアプローチしてきた売り手の例を挙げる。その売上は、TikTok ShopのAIにより、そうではなかったにもかかわらず健康上のアドバイスを提供しているとされてポリシー違反として誤ったフラグが立てられるまでのものだった。ある競合他社の製品も同じ方法で販売されていたが、削除はされなかった。「ある日には一攫千金の可能性があるが、翌日には製品が削除されて、それが運の尽きになるかもしれない」とそのエージェンシー幹部は語った。 同じことがゲレラ氏のブランドにも起きた。エクスペリメントは「バッファージェリー(Buffer Jelly)」という美容ジェルを販売しているが、TikTokのAIにより食品として誤ってフラグが立てられ、TikTokが食品として分類した商品を販売するために必要な書類を同社が提出していなかったため、違反とされたのである。この製品は数日間削除されたが、ゲレラ氏の会社がTikTokのカスタマーサービスに異議を申し立てた後、最終的には復活した。「TikTokから『製品の名前を変えられないか?』と打診されたが、『いや、それは無理だ』と言った」。 この美容ブランドは、最新製品「ソフトウェア(Softwear)」という名のリップトリートメントにも問題を抱えている。TikTokのAIがこの製品名を誤解して、パジャマとしてフラグが立てられてしまったのだ。「いらつかされるが、最終的に問題は解決される」とゲレラ氏は言う。 ゴーストエージェンシーの共同CEOであるジェニー・ウー氏によると、この問題はTikTok上で大量の商品を販売する企業にとってはさらに深刻だという。大規模なショップの場合、単一の商品についてTikTokカスタマーサービスチームに何度も申し立てなければならないことがある。「それはSKUの量によって異なる。店舗によっては10~20のSKUだけの場合もあれば、数百、数千のSKUを抱えるショップもあるため、果てしなく感じることもある」とウー氏は話す。 ウー氏はプラットフォームのさまざまなバグを総じて「日常的な問題」だと表現した。