傾向と対策は万全!アラベスクを除いては……保育士を目指す事件記者が最後の試験に臨む
首尾は上々と拝察、慶賀の至りです。当方は、どの科目も試験終了の合図が出るまで席に座っていました。解答を見直すというより、試験の雰囲気をとことん味わいたかったのです。 ■ピアノで「アラベスク」に立ち向かえ さあ、ピアノ実技「器楽応用」です。 試験曲はブルグミュラーさんの「アラベスク」です。 すみません、存じ上げない方です。 ドイツの強豪サッカーチーム、バイエルン・ミュンヘンの名FW選手、ゲルト・ミュラーさんならよく知っています。「爆撃機」の異名を持ち、泥臭くゴールを決める姿に憧れていました。共通点はドイツの方であるということだけです。失礼しました。 ピアノ練習曲をたくさん作曲なさったのですね。ピアノを習ったことのある人ならみなさまご存知だそうです。バイエルで両手による演奏の基礎を習得した初級者が、表現力を会得するために学ぶのがブルグミュラーさんの練習曲と知りました。 「25練習曲」のうち、「すなおな心」と「アラベスク」のどちらを試験曲に選ぶかと教員に問われました。 はい、どちらも知りません。 楽譜を拝見、前者の方が音符数は少ない。 では、それで。 教員が2曲を弾いてくださいました。アラベスクのメロディーには聞き覚えがありました。哀愁と情熱が同居しているように聞こえ、心惹かれました。 もとい、こっちにします。 ■駅ピアノでひたすら練習を む、右手で弾く小節に16分音符が四つも連なって並んでいます。これがしばらく続いたら、今度は左手部分がそんな状態に。スタッカートもた・く・さん・あ・る。 「˩」の記号とは初対面です。そこでピアノのペダルを踏み込むとな。左右の手に加えて右足も使えと仰せか。 「テンポは一定に」 「ぴんと指を伸ばして弾くのではなく、拳を軽く握って指を繰り出そう」 「でも、とても良い音が出ています」 懇切丁寧なご指導をいただいても一歩前進二歩後退が続きます。同級生や家人にもすがりました。 取材で遠征した折には、駅ピアノで「ラシドシラ ラシドレミ レミファソラ ラシドレミ」をひたすら練習しました。順番を待っていた少年よ、勘弁してくんな。