豊胸を夢見た女子学生が語る被害の苦しみ…美肌、アンチエイジングなど美容サプリに隠された闇
豊胸を夢見た女子学生が語る被害の苦しみ
大学で食品学の講義の際に、この国民生活センターの注意喚起の話をして、学生たちにくれぐれも気をつけるよう伝えた。すると講義の後でひとりの女子学生が、「先生、この話はぜひあちこちでしてください」と前置きをしたうえで、自身の被害の様子を話してくれた。 彼女は豊胸に魅力を感じて通販で購入し飲み始めたが、しばらくして月経不順になり出したと言う。それでも小学校高学年の頃に胸が少し痛くなって膨らんだのと同じような感じがしたので、「これはいける」と思って飲み続けてしまった。しかし、月経の乱れがあまりにもひどい。これはホルモンバランスが崩れているのでは、と考えて摂取をやめたが、その後も月経だけでなく何となく体調不良が続いていて今も万全ではない。「もうこりごり。なんでこんな製品に引っかかったの」と自分を責めていた。 講義を聞き、「私だけに起こった現象だと考えていたが、同じような人がいっぱいいることがわかり、私みたいな被害に遭わないよう先生にこの話を広めていただくようお願いします」と訴えに来たのであった。 この学生は医療機関にかかっていないので、国民生活センターの危害件数209件(2012年度以降、2017年4月末日までの登録分)には入っていない。実際の健康被害者はこの何倍もいたと私は推測している。 このプエラリア・ミリフィカには植物性エストロゲン(女性ホルモン)として、同じ植物性の大豆イソフラボン類よりも約1000~1万倍の女性ホルモン的作用があるとされている。そのようなものを健康食品として常習的に摂取すれば、当然ホルモンバランスが乱れ、種々の症状が出てくることになる。ちなみに国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の注意書きには「バストアップ、美肌、アンチエイジング、不妊の改善などについての研究は一つも見当たりませんでした」とある。 続きは<厚労省が指定した、重篤な障害を起こす4つの健康食品とは? 見過ごせない健康障害報告>で公開中。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)