過去最高の利益、原価率は減少…山崎製パンの値上げへの疑問 必要以上に消費者に負担を強いるものなのか、同社は「やむを得ず値上げをさせていただいた」と回答
「ついこの間値上げしたのに、また!?」──そんな悲鳴を上げ続けた2024年。その波は来年も止まらなさそうだ。11月29日、主要な食品メーカー195社の来年の飲食料品値上げ予定は3900品目を突破し、2024年を大幅に上回った。製パン業界で圧倒的にナンバーワンの売り上げを誇る山崎製パンもそのひとつだ。だが果たして、その値上げは「やむを得ない」ことなのか。数字に隠された真相をライター・村上力氏が緊急レポートする。 【表で丸わかり】山﨑製パン1個の原価構成比。他、この8年間での山崎製パンの食パン部門の売上高の推移
製パン業界最大手・山崎製パン(以下、山パン)は10月末、食パン『ロイヤルブレッド』『超芳醇』など290品の価格を、2025年1月から平均して5.6%値上げすると発表した。11月には『超熟』の敷島製パン、『本仕込』のフジパンなどの競合他社も足並みを揃えるように来年からの値上げに踏み切ったが、山パンの値上げ率はもっとも高い。 山パンは10月29日に公表した「製品価格一部改定のお知らせ」で値上げ理由をこう説明する。 《包装材料やカカオ豆等の価格が高騰しており、また、油脂、砂糖、乳製品等の価格は高止まりの状態が続いています。さらに、人件費、物流費、エネルギーコストが上昇しており、これらのコストアップは企業努力による吸収の範囲を超えた大変厳しいものである》 多くの食品メーカー同様、山パンの値上げは今回が初めてではない。 2022年1月には原材料や油脂類、糖類、包装資材、水光熱費、物流費、人件費の高騰などを理由に食パンなどを9%値上げした。さらに、同様の理由により同年7月に4~8%値上げ。昨年7月にも6~7%値上げした。たしかに、ウクライナ戦争で小麦が、中東情勢の緊迫で石油が、円安で輸入品が……とモノの値段が上がるニュースが延々と流れている昨今、パンが値上がりするのもやむを得ない──そう消費者が受け止めるのも当然だろう。 しかし、山パンは値上げを公表した同じ日に、今年1月から9月までの9か月間の業績を公表。それによると、利益は過去最高を更新した。 消費者に「コストアップは企業努力による吸収の範囲を超えた大変厳しいものである」と負担増を求めながら、実際には過去最大の利益を上げているのである。
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