豊胸を夢見た女子学生が語る被害の苦しみ…美肌、アンチエイジングなど美容サプリに隠された闇
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【続き】厚労省が指定した、重篤な障害を起こす4つの健康食品とは? しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より、健康食品の素材がなぜ毒に変わるのか連載形式で紹介する。
美容目的サプリの有効性
国民生活センターは2017年、「美容を目的とした『プエラリア・ミリフィカ』を含む健康食品―若い女性に危害が多発!安易な摂取は控えましょう―」という注意喚起をホームページ上に掲載した。このプエラリア・ミリフィカは、タイ北部などに自生するマメ科の多年生つる植物である。 一緒に公開された国民生活センターの報告書によると、「プエラリア・ミリフィカの塊根は若返りの民間薬として知られており、サプリメントや化粧品などに利用されている。俗に、『豊胸によい』『肌によい』『若返りによい』『強壮によい』『不妊によい』『更年期によい』『骨粗鬆症や高脂血症によい』などと言われているが、ヒトにおける有効性については、十分な情報は見当たらない」とある。そして私は報告書に載っているこの製品による健康被害の甚大さに驚かされた。 「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられたプエラリア・ミリフィカを含む健康食品に関する危害情報209件における被害者は、ほぼ全員が女性で、年齢別にみると、20歳代が69件(33%)と最も多く、次いで40歳代が42件(20%)、30歳代が41件(20%)、10歳代が37件(18%)となっています。また、全員がこれらの健康食品を通信販売により購入していました。 危害内容は、嘔吐、腹痛、下痢などの『消化器障害』や、発疹、じんましんなどの『皮膚障害』が多い中、『その他の傷病及び諸症状』に分類されるものも多く、その内容をみてみると、月経不順あるいは不正出血といった月経に関する健康被害が多くみられました。なお、ホルモンバランスが崩れていると診断されている事例や、当該健康食品の摂取をやめるよう医師から指導されている事例も複数みられました。販売時には特定の期間、毎日摂取し続けて効果がない場合には返金する旨が示されているものもあり、体調不良が起こっても消費者が飲み続けている事例もありました」