遺族が引き出せないデジタル金融資産の壁「ID・パスワード」の困難
ネット銀行やネット証券、FX、仮想通貨など、デジタル金融資産は市民権を得つつある。だが、これらの資産の「相続」のことを考えたことはあるだろうか。現物ではなく、データ上の数字でしかないため、タンス預金のように物理的に受け取ることはできない。IDやパスワードを知る本人が死亡してしまったらデジタル金融資産はどうなるのか…この問題に対する日本人の意識を調査した結果が発表されている。 【写真でわかる】楽天プレミアムカードから、年会費が上がっても楽天ブラックカードに乗り換えた意外な理由
総資産1000万以上保有者のうち、61%がデジタル金融資産を保有
GOODREIは、ネット銀行・証券口座やFX、仮想通貨などのデジタル金融資産の保有状況と、万一の場合のデジタル遺産相続に対する準備状況について、一般消費者を対象に調査を行った。対象者は金融資産保有額1,000万円以上かつ40歳以上の480人で、回答者の平均年齢は61歳である。 まず総資産1,000万円以上の人に限定し調査した結果、デジタル金融資産を保有している人は全体の61%と半数を超えた。
種類別で見ると、国内ネット銀行口座が52%と最多で、次いで「国内ネット証券口座」が43%となり、「FX口座」「仮想通貨」「海外銀行口座」「海外証券口座」はいずれも10%未満という結果だった。
続いては「遺族があなたのデジタル金融資産を引き出せると思いますか?」という質問。「はい」と答えた人の割合は、1000万円未満の資産保有者は47%、1億円以上の資産保有者は59%と、資産が増えるほど「遺族が遺産を引き出せる」と考える人が増えている。資産が増えるほど相続でトラブルにならないように、と事前準備をするのかもしれない。
家族がデジタル金融資産を引き出せないと考えているが、相続準備は後回しにしがち
では、家族はデジタル金融資産をどの程度把握しているのだろうか。「デジタル金融資産に対する遺族の把握状況」は、資産の種類、金額、引き出し方、ID・パスワードという4項目に分けて質問している。その結果によると、いずれの項目も「完全に知っている」と答えた人の割合は30%弱で、種類、金額、引き出し方、ID・パスワードの順に全く知らない遺族が増えている。 そもそも存在を知らないと、相続の際に「相続すべきか、相続放棄すべきか」という判断を間違える可能性もあり、大きな問題につながってしまう。また、引き出し方やID・パスワードを知らなければ、資産を受け取ることもできないため、いざという時に家族は困ってしまうだろう。早急に解決しなければならない問題だが、果たして相続準備はどれくらいの人が行っているのだろうか。