吉野家、ダチョウ丼の勝算 河村社長「牛丼依存脱却へ5000羽飼育」
事業環境は楽観視する状況ではない
10月には吉野家で期間限定値下げを実施しました。 河村氏:一番大事にしている経営指標は売り上げではなく客数です。結局、我々のような外食企業は何度もご来店いただかないと商売にならないんですね。車やマンションを売っているのとはわけが違います。 吉野家では7月に価格改定(値上げ)をさせていただきました。これまでもずっとそうですけども、値上げをすると客数への影響がありますので、何らかの形でもう一度お客様に戻ってきていただく施策が必要だと考えていました。 過去の様々なキャンペーンの経験値からいうと、牛丼をダイレクトに値下げして販売するのが一番客数が期待できるということで期間限定値下げを企画しました。期間限定ではありましたが、メディアで多く取り上げていただけたこともあって、計画よりは客数を獲得することができました。 その他の価格戦略について、夜から早朝にかけて料金を割り増しする深夜料金なんかは新型コロナウイルス禍前から何度も検討はしていますが、今のところは導入を見送っている状況です。それから地域別の価格体系については、例えば空港のお店なんかは街中と違う価格で既にやらせていただいています。これをもう少し規模拡大するかどうかというのも今後の検討課題ですね。 最後に足元の業績と今後の見通しを教えてください。 河村氏:事業環境は今期に限らずいつも厳しいです。順調だった時期に経営したことはないので何とも言えませんけれども、上期におきましては、従業員の賃上げを実施しましたし、吉野家における牛肉の仕入れ価格がずっと上がっておりますので、そういった影響で若干の減益でした。 コロナ禍の時に比べたらもちろん客足は戻ってきてはいるけれども、そんなに楽観視するような状況でもないということですかね。
関 ひらら