フランス、1997年以来の下院解散-極右躍進阻止へ大統領が大きな賭け
(ブルームバーグ): フランスとドイツの有権者は9日に行われた欧州議会選挙で自国リーダーに大打撃を与えた。フランスではマクロン大統領が率いる与党連合が極右政党の国民連合(RN)に惨敗。マクロン大統領は、国民議会(下院)を解散し、新たな選挙実施を表明した。夏季五輪の開催を目前に控えたフランスが政治的混乱に陥る恐れが出てきた。
マクロン仏大統領の連合、ルペン氏の極右政党に惨敗へ-欧州議会選
Ifopが9日に発表した推計によると、マリーヌ・ルペン氏率いるRNの得票率は32%と、予想通りの水準だった一方、マクロン氏率いる与党連合は15%にとどまった。
マクロン氏はテレビ演説で、第1回投票が6月30日、決選投票は7月7日に実施されると述べた。国民議会での新たな選挙はフランスの議員が対象で、マクロン氏の国家元首としての地位は直接影響を受けることはない。だが、法案の推進力や、志が同じ首相を選ぶ力、自身の政治プロジェクトの信頼性は、惨敗が濃厚な9日の選挙ですべて危険にさらされることになる。
ユーロは週明けの取引開始直後に一時0.3%安の1ユーロ=1.0765ドルまで下落し、約1カ月ぶりの安値を付けた。フランス国債先物も下落し、ドイツ国債先物をアンダーパフォームしている。
EU問題の独立系コンサルタント、イブ・ベルトンチーニ氏は、「これは単なる賭けではなく大胆不敵な一手だ」と指摘。「通常、このような行動に出るプレーヤーは、手札があまり残っていないものだ」と述べた。
10日の早い時間の推計によると、ドイツではショルツ首相率いる与党・社会民主党(SPD)の得票率はわずか15%と過去最悪の結果となった。野党保守系政党連合が得票率31%で首位。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は15%と、SPDと2位の座を分け合う方向だ。
欧州議会選は今後5年間の任期を務める720人の議員を選出するもので、欧州連合(EU)域内の約3億6000万人が投票権を持つ。