フランス、1997年以来の下院解散-極右躍進阻止へ大統領が大きな賭け
マクロン大統領は9日夜のテレビ演説で、「何もなかったふりはできない。外的な危険であれ、気候変動とその影響であれ、われわれが直面している課題は、議論の明確さを求め、国のために野心を持ち、国民一人一人を尊重することを求めている」と述べた。
フランスで下院が解散され選挙が実施されるのは、シラク政権下の1997年以来。ルペン氏はRN支持者に向けた演説で9日の選挙結果について、「議会解散を含む今夜のメッセージは、ブリュッセルの指導者たちにも向けられている。世界中の人々を苦しめてきたこの痛ましいグローバリズムの幕を閉じるものだ」と語った。
仏下院選は、欧州極右勢力で最も長いキャリアを持つルペン氏にとって、初めて政権への足掛かりを固める機会となる。RNが第1党と確認されれば、交渉が難航する可能性はあるにせよ、ルペン氏は次期首相の指名において重要な役割を担う可能性がある。
イタリアの投票では、メローニ首相率いる右派政党「イタリアの同胞(FDI)」が勝利する勢い。現地の世論調査によると、同党の得票率は27-31%と予想されており、2019年の6%強から躍進する見通し。左派の民主党の得票率は21.5-25.5%。
欧州議会全体では、EUの3大主流会派が過半数議席を維持する見通し。フォンデアライエン欧州委員長率いる中道右派会派「欧州人民党(EPP)」は191議席、中道左派会派「欧州社会民主進歩同盟(S&D)」は135議席、中道のリベラル会派は83議席を獲得する見込み。極右2党は合わせて約128議席となる見通し。
議会の右傾化は気候変動問題に関するEUの野心的アジェンダを巡る論争を意味する。気候変動が欧州市民にとって依然として最も重要な問題の一つであるにせよ、前例のないエネルギー危機で家計に打撃を受けた有権者には、移行にかかる費用負担は大きな関心事となった。
投票後に発足する次期欧州委員会と27の加盟国にとっての課題は、最も弱い立場の人々を保護し、これまで以上に厳しい公害対策目標を課せられる企業の競争力を高めるためより多くの財源を見いだすことだ。ロシアによるウクライナ侵攻で地政学的環境が悪化する中、多くの加盟国が防衛費の増額を求めている。