【東京建築祭】「教文館・聖書館ビル」アントニン・レーモンドの戦前の名建築ガイドツアーに潜入レポート! 文人に愛されたモダニズム建築を追体験 東京都・銀座
ガイドツアー「【教文館・聖書館ビル】A.レーモンドの名建築へ、非公開エリアに潜入」
次に、ガイドツアーをレポートしよう。取材をさせてもらったのは、銀座の「教文館・聖書館ビル」だ。日本近代建築の父ともいわれる、アントニン・レーモンドが手掛けたビルというから、申込者も多かっただろう。集合場所の1階エントランスホールに、当選した15人が集まってきた。 参加者にこのガイドツアーを申し込んだ理由を聞いてみると、このビルの前をよく通っていたり、書店でよく本を買っていたりして、馴染みのあるビルの非公開の場所が見られると聞いて、申し込んだという声が多かった。
さて、ガイドツアーは、建築祭のスタッフから見学時の注意事項などの説明があった後、ガイドを紹介して始まった。教文館代表取締役社長の渡部満さんと専務の森岡新さんが、今回のガイドだ。「今では創建当時の建物をそのまま保存するという考え方が浸透しているが、かつてはそこまでの意識はなかった。そのため、外壁など改修された部分も多いが、まだ当時のものも残っている。エントランスの天井のレリーフもその一つで、今回、そうしたものを中心に見学する」という。 教文館ビル側のショーケースに、東京建築祭のためのさまざまな資料が展示されていたが、写真の右側の模型は都立大崎高校のペーパージオラマ部がレーモンドの設計図を基に作成したもの。当時は屋上にアール・デコ様式の塔が2つあったが、左の模型のように広告塔を建てるために1つを撤去してしまったという。ただ、もう1つの塔の台座はまだ屋上に残っている。
このビルの特徴は、教文館ビルと聖書館ビルが隣接して1つのビルになっていることだ。エントランスやエレベーターホールを共有しているが、階段室を見ると壁を隔ててそれぞれのビルに行く階段が分かれている。実は、当時の階段が地下に残されていて、それを見ると教文館側は2色になっていることが分かる。
地下の階段室を見ると色の違いが分かる。
さて、ツアーは1階から屋上、5階、地下へと移動し、またエントランスに戻るという流れだったが、5階には床の大理石や階段室の仕切り、室内に入るドア部分など当時のものが多く残っている。ほかにも、今は使われていないが、メールシューターやダストシュート、消防用の送水口(1階)が残っている。
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