「糖尿病予備軍」のまま放置するリスクはご存じですか? 対処法や診断基準も医師が解説!
糖尿病予備軍と診断されたら何をすべき?
編集部: 糖尿病予備軍と診断されたら、一体何をしたらいいのでしょうか? 藤本先生: 糖尿病の食事療法や運動療法は、健康長寿の秘訣そのものでもあります。これを機に糖尿病に準じた食事や運動習慣に切り替えていきましょう。 編集部: 具体的に、何をしたらいいのでしょうか? 藤本先生: 食事は、適正なカロリーを3食に分けて食べることが基本です。1食がランチョンマットにすっきり載せられる程度で、主食・主菜・副菜1~2品(+汁物・果物)が目安です。「腹八分」を意識しましょう。 編集部: 運動療法では何をしたらいいのでしょうか? 藤本先生: 運動習慣をつけることも大事なのですが、大げさに考える必要はありません。ジムに行かなくても、自宅でスクワットなどをおこなうことで筋トレができます。また、外出時は「車より公共交通機関」「エスカレーターより階段」など、少しでも体を動かす選択肢を身につけていきましょう。 編集部: まずは食事と運動ですね。 藤本先生: はい。特に気をつけたいのは、糖尿病の発症と密接に関わっている「肥満」です。体重を3~5%落とすだけで、体内の代謝状況は見違えるほど改善します。肥満も一緒に指摘されたら体重を落とすことを目安に、食事と運動の改善に取り組んでみてください。 編集部: 食事と運動以外で気をつけることはありますか? 藤本先生: ストレスや睡眠不足も大敵です。睡眠を重要なスケジュールとして確保したうえで、ほかの予定を立てるようにしましょう。また、糖尿病予備軍の時期にも糖尿病合併症は静かに始まっていることがわかっています。喫煙は合併症の進行を促進するため、喫煙者はこれを機にぜひ禁煙に取り組んでください。 編集部: 生活習慣を改善することが必要なのですね。 藤本先生: はい。世界的におこなわれた調査で「食事や運動習慣を見直したり、減量をしたりした人は、しなかった人と比べて2型糖尿病の発症リスクが29~67%下がった」という報告もあります。もし糖尿病予備軍と診断されたら、すぐに生活を見直しましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 藤本先生: 糖尿病予備軍と指摘されたら、ショックを受ける人は多いと思います。しかし、今その結果を知ったことはラッキーと捉えましょう。糖尿病合併症はまだ始まったばかりで自覚症状はなく、元気な状況なので、すぐに食事・運動などの生活習慣の改善を心がければ、糖尿病発症予防のみならず、脂質異常症や高血圧症、脂肪肝などのリスクも軽減できます。「元気で長生きするための生活にシフトするチャンスをもらった」と考えて取り組んでみてください。1人で抱え込まず、気軽に糖尿病内科までご相談ください。