「糖尿病予備軍」のまま放置するリスクはご存じですか? 対処法や診断基準も医師が解説!
糖尿病予備軍の診断基準
編集部: 糖尿病予備軍は、どのような基準で診断されるのですか? 藤本先生: 糖尿病診断のための検査として、空腹時血糖値、随時血糖値、HbA1c、75gブドウ糖負荷試験があります。 編集部: それぞれ説明をお願いします。 藤本先生: まず空腹時血糖値は、理想値100mg/dL未満、正常値110mg/dL未満(100~109は正常高値)、糖尿病型126mg/dL以上(110~125は境界型)です。 編集部: 随時血糖値は? 藤本先生: 食事と採血時間との時間関係を問わないで測定した血糖値のことを随時血糖値と言います。随時血糖は、200mg/dL以上で糖尿病型と判断されます。 編集部: HbA1cとは? 藤本先生: HbA1cは、赤血球に含まれる赤い色素「Hb(ヘモグロビン)」がブドウ糖の影響を受けて変性したものの割合を示す数値です。ただし、Hb異常や貧血などがあると正確に測れないことがあるため、この検査のみで糖尿病の診断はおこなわないことになっています。HbA1cは直近1~2カ月の血糖の平均レベルを示すため全体的な状況が把握でき、糖尿病治療において重視されている数値です。理想値5.5%以下、正常値6.2%以下(5.6~6.2は正常高値)、糖尿病型6.5%以上(6.3~6.4%は境界型)です。 編集部: 75gブドウ糖負荷試験についても教えてください。 藤本先生: 空腹状態でブドウ糖の入ったサイダーのような検査薬を飲んでいただき、内服前、30分後、60分後、必要に応じて90分後、それから120分後の血糖値やインスリンを測定するものです。正常型なのか、境界型なのか、糖尿病型なのかを診断できるだけでなく、インスリン分泌の特徴もわかるので、どこを重点的に気をつければ今後の糖尿病発症や悪化を防ぎやすくなるか知ることができます。 編集部: 糖尿病予備軍になったら、必ず糖尿病になるのですか? 藤本先生: 必ずというわけではありませんが、糖尿病発症リスクは高いため、最低でも年1回の健康診断を受けてください。特に糖負荷試験で経過中200mg/dLを超える数値が出た人、糖尿病診断基準に近い人、HbA1cが6.5%以上の人は、3カ月ごとに医療機関で採血を受けましょう。