首位を走る阪神の3連敗に見えた「4つの不安」…なぜ反撃すべき8回に近本、糸原に代打を送ったのか?
そして4つ目の不安が、矢野采配への疑問だ。不動だったスタメンからサンズと梅野を外して、6点を追う8回には横浜DeNAが3番手として左腕のエスコバーをマウンドに立たせると、この回先頭の近本に代打・山本、続く糸原に代打・熊谷を送り、開幕ダッシュを支えた1、2番コンビをベンチに下げたのである。2人とも凡退。ファンからすれば、まるで試合をあきらめたとも見える選手交代である。 その前の回には、2番手の平田から二死満塁のチャンスを作っていた。途中出場の北條は三振に倒れたが、横浜DeNAは10連敗中のチーム。まだ何が起こるかわからない状況で、左腕も苦にしない好調のレギュラー2人を下げたことは腑に落ちない。“積極的休養“だったのか、熊谷、山本に経験とチャンスを与えたかったのか…。 梅野は22日の巨人戦で梶谷のファウルを膝に受けて途中交代していた。大事を取って梅野を休ませたのはわかるが、いくら移動日無しのゲームとはいえ、まだ開幕23試合の段階で“積極的休養“としてサンズを休ませたことと、近本、糸原の交代の意図は理解できなかった。むしろチームの勢いを止める危険な采配に思えた。 高代氏も疑問を呈した。 「近本、糸原を代えた理由がよくわからなかった。左のエスコバーということもあり、おそらく休養をとらせる意味もあったのかもしれないが、近本の調子も上がっていて糸原もバットが振れている。“いいときは動くな!“は、チームマネジメントの鉄則。エスコバーとはこれから先も重要な局面でぶつかるだろうし、ここで2人を下げる必要はなかったと思う。守る側は、近本に打席に立たれることがどれだけ嫌か。ペナントレースの先を見据えた采配だろうが、少しバットが遠回りし始めているサンズの休養も含めて、先を見過ぎたベンチの”焦り”にも思える。横浜DeNAは10連敗中で最低のチーム状況。叩けるうちに叩いておくべきだった。前回の横浜DeNA戦(10日)はサンズの一発で仕留めたのだ。相手バッテリーへの威圧感は、サンズがいるといないとでは大違い。2位の巨人への1勝も最下位の横浜DeNAへの1勝も今の段階では同じなのだ。せっかくの開幕ダッシュのいい流れを止めてしまうことにならないかと少し心配になる3連敗となった」 10日の横浜DeNA戦では9回にサンズが放った5号2ランが試合を決定づけた。阪神に3連敗した横浜DeNAからすればサンズの不在は助かっただろう。 元阪神監督の故・野村克也氏が、矢野監督の選手時代に配った「ノムラの教え」にはこう書いてあった。 「相手の嫌がることをせよ」と。 メンバーが揃い始めた巨人はエースの菅野が2試合連続の完投で3連勝。阪神とのゲーム差は「1」となり最大のライバルの足音が聞こえてきている。