首位を走る阪神の3連敗に見えた「4つの不安」…なぜ反撃すべき8回に近本、糸原に代打を送ったのか?
さらに昨年からのチームの課題だった守りにミスが出てしまう。 藤浪のあとを継いだ2番手の馬場がその5回一死一塁からソトを併殺におあつらえ向きのピッチャーゴロに打ち取ったが、糸原のベースカバーが遅れたため、馬場が一瞬、躊躇。手を振り上げたままの状態でタイミングを図り直して送球したが、ショート側にワンバウンドになって大きくそれてしまい、併殺どころかオールセーフにしてしまった。 高代氏は、「手でタイミングを取るから、ああいうミスが起きる。こういうときこそ、しっかりとステップして送球すべきだった。内野手は、ベースカバーより先に打球に反応するので、タイミングの遅れはよく起きること。私がコーチ時代は、キャンプで、こういう事態を想定して、わざと野手のカバーを遅らせて投手に送球させる練習をやっていた」と、ミスの原因を指摘した。 ミスがミスを呼ぶのが野球の常。 さらに宮崎にヒットを許して満塁となり、続く神里のライト前ヒットにチャージしてきたルーキー佐藤が痛恨のトンネルをやってしまった。差し出したグラブの下を打球がすり抜けたのである。打球がライトフェンスまで転々とする間に、走者一掃どころか、神里までダイヤモンドを一周してホームに生還した。記録は、ワンヒットワンエラーだが、“満塁ランニングホームラン”。センター近本のカバーも遅れていた。 「打球が予測よりもバウンドしなかったこともあるが、もう数センチ、グラブを下に下げておくことが必要だった。もっと言えば判断ミス。二塁走者をアウトにできるタイミングではなかった。落ち着いて、まずカットマンへの正確な返球を試みていい場面だった」というのが高代氏の分析。 これで阪神のチームエラーは16個。現在セのワーストだ。ここまでのミスは、得点に絡むことがなくチームの勝ち星に隠れて目立つことがなかった。しかも、9回打ち切りのルールを利用して矢野監督はリードしているゲームの終盤に守備固めをする采配を打ち出して守りの弱点をカバーしていたが、不安要素をさらけ出すことになった。 そして矢野阪神が展開している積極走塁が裏目に出る3つ目の不安も。3点を追う3回一死一塁から近本の打球がセンターの右を襲った。右中間に抜けるかと思われた打球を懸命に走った神里がファインプレー。神里が体勢を整えてから一塁へ矢のような送球をしたが、二塁ベース付近まで走っていた坂本は帰塁しきれず間一髪でアウトになった。 「抜ける“だろう“の見込みプレー。走塁で最もやってはいけないこと。もし捕球されても帰塁できる場所で”ハーフウエー待機”して判断すべきだったミス」(高代氏)。