東日本大震災のボランティア志願者へのメッセージ(フィールドライフ2011年春号掲載)
東北を忘れないで欲しい。その気持ちを持ち続けてほしい。
最後にお願いしたいことは「どうかいまの気持ちを持ち続けて欲しい」ということだ。 未曾有の大災害を前に、キミは今、何かをしたいと思っている。自分も東北のために、被災地のために働きたいと思っている。その気持ちを今だけでなく、3カ月後、半年後、1年後、5年後も持ち続けて欲しい。 日本人は熱しやすく、冷めやすい。そしてどうしようもないほどマスコミ報道に左右される。残念ながらあと数カ月もすればテレビ番組はまたお笑い番組とバラエティに染まるだろうし、被災地であれほど悲痛な叫び声を上げていたテレビレポーターたちは、きっと次のトピックに群がることだろう。 神戸の時もそうだった。ある日を境に忘れられた。 それは95年3月25日のこと。東京で「地下鉄サリン事件」が発生したのだ。 この日以降マスコミ報道はオウム真理教一色に染まり、5月16日の第6サティアン強制捜査と麻原教祖の劇的な逮捕の瞬間まで、連日連夜の報道合戦が続いた。 神戸の震災復興のニュースはどこかへ吹っ飛び、東京では話題に上ることが少なくなった。同時にボランティアブームは潮が引くように後退し、あれほどいた“自称ボランティア”たちはどこかへ霧散してしまった。 今度の東日本大震災は、災害の規模も、復興までの道のりの厳しさも、阪神大震災を遙かに凌ぐものになると思う。だからぜひ、忘れないで欲しい。被災地を見捨てないで欲しい。長い支援を続けて欲しい。 現地でボランティアの手が必要になるのは今だけじゃない。それどころか、仮設住宅が建ち始め、被災者が避難所から自宅に帰るころのほうが片付けや手伝いに今の何倍もの人手がいる。3カ月後、6カ月後、1年後、3年後にもボランティアの力が必要なのだ。 だからなにもいま慌てて現地に行かなくていいから、それよりもその気持ちをどうか持ち続けてほしいと思うのだ。 いま僕たちの国は危機に面している。日本という国が沈んでしまうような巨大な危機だ。 ここを乗り越えていくのは、けっきょくは人の力だ。僕らがみんなで持てる力を出し合うしか、道はない。この国の未来は僕らの手の中にある。 何ができるのか、何をすべきなのかは人それぞれだけれど、僕らひとりひとりには必ずなにかの“役目”があるはずだ。いまはその役目を果たすことに、一生懸命になるしかない。 僕は僕の役目を果たそうと思う。 キミもどうか頑張って欲しい。 2011年3月27日 ホーボージュン。
フィールドライフ編集部