東日本大震災のボランティア志願者へのメッセージ(フィールドライフ2011年春号掲載)
東日本大震災のボランティア志願者へのメッセージ(フィールドライフ2011年春号掲載)
※この記事は『Field Life』2011年春号掲載の記事となります。 編集◎Field Life編集部 文◎ホーボージュン。
あの日から、驚き、怯え、泣き、そして今、被災地のために何かをしたいと思っている心優しきアウトドアーズマンの君へ。
まばたきができなかった。一瞬たりとも目が離せなかった。足元には崩れた本や食器が散乱していたが、大きく見開いた僕の眼はテレビのライブ映像に釘付けだった。 目の前でクルマが、家が、人が、巨大な波に飲み込まれていた。ビルがへし折られて白い泡を吹き上げる。商店街に巨大な貨物船がつっこんでいく……。まるでSF映画のように、東北の港町がぐしゃぐしゃになっていった。 3月11日に東日本を襲った巨大地震と大津波は、東日本の広い地域にに壊滅的な被害をもたらした。地震発生から今日で半月が経とうとしているが、死者と行方不明者は2万7000人を超え、避難者数は24万人にも及んでいる。 また東京電力福島第1原発が引き起こした爆発事故と放射能汚染はいまだ収拾のめども立たず、恐怖と焦燥感が、ジワジワと僕らのまわりに押し寄せてきている。 「まじでヤバイよ……」 これが未曾有の危機だということは、キミも感じているだろう。 「自分も何かをしなきゃ……」 今すぐにでも被災地に駆けつけたいと思っている人も、きっと少なくないはずだ。 いま東北の被災地ではさらなる支援とボランティアの手を必要としている。炊き出しや救援物資の運搬、避難所でのさまざまな手伝いなど、人手はいくらあっても足りない。 その一方で東北自動車道が全面開通したこともあり、一般人も被災地へ直接入れるようになった。読者の中には、すでに現地入りの準備をしている人もいると思う。 でも、ちょっと待って欲しい。 憂国の念に駆られ、あるいはわき起こる熱い思いが抑えきれず、これから現地ボランティアに行こうと思っているキミに、いくつか話しておきたいことがあるんだ。 これはアウトドアーズマンとしてではなく、先輩ボランティアとしてのアドバイスだ。16年前の阪神大震災の時、僕はいまのキミと同じような衝動に駆られて現地に入り、瓦礫の中で2カ月あまりを過ごした。そこで(痛い思いをして)学んだ、とても大事な教訓だ。