北陸で断トツの出生率! 原発が"産みやすさ"を支える町の、光と影【福井県おおい町】
約30年後、すべての原子炉が止まれば、こうした影響が町全体を覆うことになる。 ただ、記者が取材した町民の多くは、「そこまで想像したことはなかったけど、言われてみれば、確かに......」と、どこか人ごとのようで、「原発は今後も欠かせないベースロード電源だから、大飯原発では5号機、6号機の増設か、既存の原発のリプレース(建て替え)が実現すると思っています」と楽観的に考えている人も少なくなかった。 一方で、子育て世代の母親たちは、おおい町の未来をシビアな目で見据える。 「約30年後、私たちは定年を迎える時期だから、この町で生きていくことはできると思います。ただ、ウチの3人の子供は12歳、10歳、7歳ですから、まだまだ現役世代として働き、家族を守っていかなければならない立場で、原発廃止の現実に直面するかもしれないという将来不安は持っています。だから、子供たちに対しては、この町にいないで、外に出ていってほしいと思っています」 おおい町は、数年前から企業誘致に乗り出し、数年にわたる活動の末、今年、1社の誘致がようやく決まった。 脱・原発依存の道筋を示せるかどうかが、おおい町の出生率を支える鍵になるということかもしれない。 取材・文・撮影/興山英雄