医師偏在対策で規制強化案 厚労省、保健医療機関の指定期間を短縮
厚生労働省は10日、都道府県の要請に従わずに都市部などで新規開業をする医療機関に対し、保険診療ができる「保険医療機関」の指定期間を通常の6年から3年に短縮できるようにする規制強化策を含む取りまとめ案を、医師偏在対策の検討会で公表した。 【一覧】国が検討してきた医師偏在対策 これまで医師数が比較的多い地域で新規開業する医療機関に対し、都道府県は、夜間・休日の初期救急や学校健診への対応など、地域に必要な機能を求めてきた。ただ、要請に応じなくても罰則はなく、実効性に欠けると指摘されていた。 厚労省は医療法や健康保険法を改正し、正当な理由がないのに要請に応えなければ、勧告や医療機関名の公表をできるようにすることなどを検討している。さらに勧告を受けた場合などは、保険医療機関の指定期間を通常の6年から3年にする。 一方、指定取り消しを含める案は、営業の自由に抵触する恐れがあるなどの異論があり見送られた。 取りまとめ案では、医師の少ない地域で勤務する医師の手当を増額することにし、財源として保険者に拠出を求めることが示された。ただ、地域医療体制の確保は国や都道府県の責務だとして、「保険料を充当することは著しく妥当性を欠く」との意見も併記された。 政府は検討会での議論を踏まえて医師偏在対策を年内にまとめ、多くの対策は2026年度から実施する。【松本光樹】