紅白初出演のこっちのけんとが大号泣した“兄の出演作”とは「病気を受け入れる一押しになった」
「精神的な病気を受け入れる最後の一押し」になった映画作品
――映画俳優としての菅田さんをどのように見ていますか? こっちのけんと:兄が俳優ではなかったら、ここまで映画を見ていませんでした。兄が出演している作品は、ちゃんと心打つものがある。特に僕にも刺さるものが多く、そのおかげでインプットの幅が広がっています。存在としてただただありがたくて(笑)。 ――お兄さんが出演する映画に限らず、好きな映画を教えてください。 こっちのけんと:それでいうと、兄の作品になりますが、『銀河鉄道の父』(2023年)という作品です。兄の役柄が、僕が楽曲制作に集中し過ぎちゃっているときの感覚にすごく似ていて。自分の思考や感情が暴走して泣きじゃくったり、自分って客観的に見たらこんな感じかと(笑)。 でもだからこそ作れた作品でもあるので、自分はこれでいいのかもしれない。そう思えました。自分の精神的な病気を受け入れる最後の一押しだったなと思います。
「兄になだめられる自分を見ている感覚になってくる」
――映画が直接的なインスピレーションになるというよりは、自分の内面との対話なのですね。 こっちのけんと:そうです。これも兄の出演作ですが、ハガキ職人の話である『笑いのカイブツ』(2024年)という映画が好きです。主人公のハガキ職人も僕の暴走してる感じに似ています(笑)。 お笑いが好き過ぎるがゆえに周りを敵視する。兄がそれをなだめる役だったんです。それを見るとなんか本当に兄になだめられる自分を見ている感覚になってくる(笑)。兄の出演している作品きっかけで自分を客観視できることが多かったですね。 ――スクリーン越しにお兄さんの眼差しを感じるわけですね(笑)。 こっちのけんと:そうです。ボロ泣きです。ハンカチ持っていってびしょびしょで帰ってきます(笑)。 ――すごいですね。それは弟にしかできない映画体験ですね。『Cloud クラウド』はどうでしたか? ある意味、黒沢監督の演出が自由に暴走している映画ですが。 こっちのけんと:(笑)。純粋にサスペンスというのか、黒沢監督特有のホラーの怖さもありながら、なのに滑稽さもあるという。そんなわけないだろという状況が起こっているのに、見せ方は怖い。でもあっけなさもやっぱりある。 実写なのか漫画的なのか。その塩梅が面白かったです。結果、その面白さはコメディーではないかと。そのあたりが黒沢監督らしさなのかと勝手に考えています。とても好きな作品です。