無印良品では「コオロギせんべい」が売られているそうですが、世界にはどんな「昆虫食」があるのでしょうか? 食材になる虫や、費用について教えてください!
無印良品の「コオロギせんべい」をはじめ、世界各地では食材として、また今後の食糧問題への解決策として昆虫が利用されています。なぜ昆虫食が注目されているのでしょうか。昆虫の種類や食文化を紹介し、昆虫食の栄養価や環境へのメリット、素材としての金額などを解説します。
注目の昆虫食「コオロギせんべい」
コオロギのパウダー入りせんべいとして無印良品の「コオロギせんべい」は、購入個数制限が設けられた人気商品です。このコオロギは、国際連合食糧農業機関(FAO)も推奨するほど栄養素が高く、タンパク質量も豊富な食材として注目されています。 タンパク質源となる牛や豚など家畜を育てるためには餌や水が大量に必要です。一方、コオロギは育成期間も短く餌や水の量も少ないため、温室効果ガス排出量が圧倒的に少ないことがメリットの1つです。 たとえば、タンパク質1キログラムを生産するのに必要となる水の量について牛とコオロギとを比較してみましょう。この場合、牛が2万2000リットル必要になるのに対し、コオロギは4リットルと5500分の1で済みます。 以上の理由から、環境への負荷が低い食品素材として取り扱う企業が世界的に増えています。 株式会社日本能率協会総合研究所の推計によると、世界の昆虫食市場は2025年には1000億円規模になると予測されています。国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した報告書によれば、特にヨーロッパを中心に昆虫食の関心が高まっているようです。
世界中で食べられている昆虫食
豚や牛などの肉からタンパク質を摂ることが難しい地域のタンパク源として、世界中で20億人が日常的に昆虫を食べています。昆虫の種類は1900以上もあり、南米や東南アジア、アフリカでは定番の食材です。 昆虫学者の調査によると、日本でも55種類のハチやガ、バッタ類などが食べられています。例えば、甘露煮や佃煮でおなじみの「イナゴ」やクロスズメバチの幼虫・サナギである「蜂の子」は、貴重なタンパク源として昔から食されてきました。