KDDI、5Gミリ波エリアを「飛躍的に拡大」する技術開発に成功 課題多い“真の5G”浸透に前進
KDDIと京セラは16日、5Gミリ波の活用に向けて、通信可能なエリアを「飛躍的に」拡大する無線中継技術の開発に成功したことを発表。実証実験を西新宿エリアのビル街で行ったところ、道路上のカバー率が33%から99%へと大幅に向上したと報告した。 【画像】ビル街での実証実験で大幅なエリア拡大が確認(公式資料より) ミリ波とは、5G(第5世代移動通信システム)における周波数帯域の一つで、低遅延で高速・大容量通信が特徴。4G設備を転用する方式やSub6方式に比べても高速かつ多数の同時接続が可能になる一方、障害物に弱いことや電波の届く範囲が狭いことから、活用が十分に進んでいない状況にある。 この度発表され、有用であることが確認された新技術では、5Gミリ波の活用だけでなく「将来の6G時代における高周波数帯の活用」も念頭においているという。 従来のミリ波通信は、直進性が強く、ビルや樹木の影響を受けやすいという課題があったが、今回開発された中継器は、送受信機能を動的に切り替えられる革新的な技術を採用。中継器同士がメッシュ状にネットワークを形成し、最適な通信ルートを自律的に選択できる。 中継器の設計においても、従来の基地局と比較して大きさと重量を約7割削減。街路灯への設置が可能となり、設置コストと景観への影響を大幅に低減。両社は2025年度の実用化を目指しており、今後は駅、競技場、繁華街などでの高速かつ安定した通信サービスの提供を計画していると明かした。 なお、5Gのミリ波を活用するには利用端末側での「ミリ波対応」が必須となっているが、現状の対応するスマートフォンはサムスン「Galaxy」やソニー「Xperia」の一部の高性能、高価格帯の端末のみで、iPhoneも未対応との現状にある。 今月12月26日からはミリ波対応端末の販売値引き上限を4.4万円から5万円へと緩和する新ガイドラインも施行予定で、通信技術の進歩と並行した端末普及も浸透のカギになっている。
編集部 IT/デジタル担当