「最低賃金」1050円台半ばに?──上げ幅“過去最大”でも物価上昇に追いつかず 理想は…専門家に聞く【#みんなのギモン】
■経済評論家「生活にゆとりが出ない」
加納解説委員 「経済評論家の加谷珪一さんは今回の引き上げの目安について、『最低賃金1050円台半ばは現実的には妥当』としながらも、『本当に最低限の水準で、物価上昇には追いついていない。物価の上昇を賃金アップが追い越さないと生活にゆとりが出ない』と話しています」 桐谷キャスター 「物価の上昇を上回る賃金にするには、どれくらい上げていかないといけないんですか?」 加納解説委員 「加谷さんによると、今年度は最低賃金が1100円に近いところまで行くのが理想だったということです。そして『2030年代半ばまでに1500円』という目標について加谷さんは、『物価上昇分しか上がらないから1700円にするべきだ』と話していました」
■中小企業の「短期的」「長期的」課題
加納解説委員 「ただ、賃金を上げるには課題もあります。加谷さんによると、そもそも日本の中小企業は大企業の下請けが多いですが、それゆえに2つの課題があるといいます。1つ目は、短期的な課題として大企業が下請けの中小企業にきちんと代金を支払うことです」 「中小企業は賃上げを実現するために、より利益を増やさなければいけないわけですから、原材料費の高騰などを受けた代金の値上げをきちんと大企業に申し出る、そして大企業はきちんと代金を支払うことが重要だということです」 「2つ目は長期的な課題として、中小企業全体が下請けにとどまらず、独自に商品開発や販路拡大をして自ら利益を増やす力をつけること。また、業務の効率を上げるため政府がIT化を支援することも大切だとしています」 鈴江アナウンサー 「日本全体で、働く人の約7割が中小企業です。そういった方たちが賃金アップでゆとりを感じられるということが、日本全体の豊かさの実感にもなると思います。中小企業の成長を促す支援も求められますね」 加納解説委員 「賃上げできないと人材は残らない、企業としても生き残れないという状況ですので、今こそ日本経済全体で変わっていかなくてはいけないのではないでしょうか」 (2024年7月24日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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