「若手に厳しく言うと辞めちゃいそう…」→ビクビク上司が今すぐやるべきこと
人間は社会的動物なので、自分の言動で集団の統率が乱れることや構成メンバーの反発や離反を招くリスクに恐怖を感じます。集団の中で良好な関係を望む気持ちは、権力を持つ上司側にも存在します。また、自分の言動で自分自身の地位や権力を失うリスクも抱えることになります。 私自身も、社内外で必要に応じてネガティブフィードバックを行うことはありますが、嬉々として行うわけではなく、「相手は嫌な顔をするかもしれない」「関係が毀損する可能性がある」「この商談は失注するかも」などへの恐怖心がゼロではありません。 厳しいことを言えない理由を上司に聞くと、たくさん出てきます。 「少しでも言い方を間違えるとパワハラになる」 「部下が昔の上司できついことが言いづらい」 「若手に厳しいことを言うと辞めてしまいそう」 「部下に嫌われると、その後の業務を進めにくい」 「人手不足のなか、やる気が下がったり辞められたりしたら困る」 「テレワークで、オンラインでの面談は厳しいことを言いにくい」 「働き方改革でこれ以上残業させられないので強く成果を求めにくい」
「伝えることでさらにモチベーションが下がったら本末転倒」 「あの人にきついことを言うと、10倍になって返ってくるのが怖い」 「あの人と踏み込んで話すのは、正直言って面倒くさい」 「どんなに熱心に伝えても暖簾に腕押しでまったく動いてくれない」 「自分も数字を持っているので余計な仕事を増やしたくない」……。 私がクライアントのセミナーで最初にすることは、こうした「嫌な理由」「出来ない理由」を吐き出してもらうことです。愚痴でもいいので、まずは自分が抱えているものを吐き出していただいて、自分の感情に気づいてもらうようにしています。 ネガティブフィードバックが必要なことは頭ではわかっていても、「できない」「やりたくない」と思っている状態ではフィードバックスキル自体も習得できず、相手と健全なコミュニケーションもできません。 そこで、いったん自分の感情を整理するのです。 心理学では「セルフアウェアネス(自己認識)」といいますが、自分がどういう理由や感情でやりたくないのかを整理して自己認識できると、モヤモヤした状態がなくなり、心を落ち着かせることができます。ネガティブフィードバックを始めるのはそこからです。
難波 猛