新型コロナ対策の希望~ウイルスを死滅させる装置を発明
学歴も実績もない…~苦難の発明家に新展開!
2023年の大晦日。道脇は大量の段ボールをオフィスに運び込んだ。 「大晦日は毎年、特許の読み込む仕事にあてています」(道脇) 集めたのは他社の特許。自分が発明を進める前に、関連のありそうな特許をチェックしておくのだ。8000もの特許、約18万ページを、驚異的なスピードで読んでいく。こんな調子で1年365日、発明に没頭する。 「食事するのをやめるとか、呼吸するのをやめるのに近い感覚。『やめる、やめない』ではない。勝手にアイデアが出てくるところもあります」(道脇)
道脇は1977年、群馬県の生まれ。父は大手化学会社の研究所所長。母は大学の物理学の助教授という理系一家だった。 小学校に進むともらった教科書は1週間で読破。すべて頭に入ってしまったと言う。しかし小学校の高学年になると、学校が我慢ならなくなった。 「退屈ですね。分かりきった授業に1年間付き合う。先のことをやらせてほしいと思っても、やらせてくれない。1秒が永遠のように感じる、最大の拷問みたいな感じ」(道脇) ついには小学5年生で学校に行くのをやめる。自主休学してしまったのだ。その後、中学や高校へはほとんど行かず、漁師や鳶職など興味を持った仕事をして過ごした。 転機は18歳、受験が迫った友達の「微分、積分」といった会話を聞いた時のことだった。道脇は何を言っているのかまったく理解できず、愕然とした。 「周りが大学受験のタイミングで、ひどくかい離していることに気づくわけです。バカを克服するのか。克服しないなら生きていても意味がないと」(道脇)
そんなどん底の道脇の前に現れ、救いの手を差し伸べた恩師がいる。出会った当時は塾の講師をしていた佐藤敦さん。大検を受けるために通った塾で出会い、意気投合した人物だ。 「言うことがあまりにもぶっ飛んでいるので、普通は頭がおかしいと思いますね。僕だけです、天才だと見抜いたのは」(佐藤さん) 「分かってもらえなくても『分かっているよ』と包んでくれる。そんな大人に出会ったのは初めてでした」(道脇) 道脇は3カ月間勉強し、大検に合格。すると佐藤さんから「アメリカ留学に行かないか?」という電話が入る。佐藤さんは留学にかかる費用500万円を用意していた。しかも「『これは貸しじゃないから返さなくていい』と。『世の中に大きな形で返すはずだから、それで返済したことにしてほしい』と」(道脇)。 「世の中の役に立つことをして恩返しする」これが道脇の人生の目標になった。