イスラエル支持でカマラ・ハリス候補に失望、ティム・ワルツ副大統領候補に希望を…アメリカの若者は民主党全国大会をどう評価した?
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。 8月28日(水)のテーマは「アメリカZ世代が民主党全国大会を振り返る ハリス氏への失望とワルツ副大統領候補への期待とは?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、現時点におけるカマラ・ハリス候補とティム・ワルツ副大統領候補の評価について語り合いました。
◆カマラ・ハリス候補がクリアすべき課題は多い
4日間にわたる与党・民主党の全国党大会が終わり、アメリカ大統領選まであと2ヵ月ちょっと。ラストスパートを迎えています。 党全国大会は、それぞれの党の立候補者の元に、全米の党員が結束し、最後の選挙戦を戦うための非常に重要な催しです。つい1ヵ月前にバイデン大統領と交代したばかりのカマラ・ハリス候補が、この短期間でどれだけ党を結束させることができるのかが大きな焦点でしたが、イベントとしては大成功だったと評価されています。 そんななか、今回の大統領選の鍵になると言われているのが、若いZ世代有権者の投票の行方です。以前からお伝えしているように、アメリカZ世代は民主党に強く寄っています。若者たちの投票率が上がれば民主党のハリス候補が有利となり、そうでなければトランプ氏が勝利すると考えられています。 ハリス候補がバイデン氏と交代した直後から、若者の支持は急激に上がっています。以前の放送でもお伝えしましたが、ラボのメンバーたちは選挙に新たな希望が生まれ、よりエキサイティングに感じられるようになったと話しています。 しかし、その反面「実際にどんな政治をやってくれるのかいまいちわからない」「女性でマイノリティということへの抵抗にどう立ち向かうのかが不安」という意見が出ました。今回の民主党大会で、ラボメンバーたちはこうした不安を解消することはできたのでしょうか? メアリー:カマラのスピーチはすごくいいと思った。彼女の生い立ちや彼女自身についてもっと知ることができた。大会全体でも、これまでと同じように彼女がどんな人かを強調していたよね。 ただ、少しイラッとしたこともある。たとえば、彼女のウェブサイトを見ても政策について書かれたページがまったくない。これは共和党のハリス攻撃の1つになっているけれど、事実だと思う。たとえば、民主党大会でイスラエルの家族だけが話すことが許されて、パレスチナ人が話す機会がなかった。これはすごくおかしいし、矛盾していると感じた。 ノエ:カマラはスピーチで、イスラエルを支持するのと同時に、パレスチナ人の悲劇についても話していたよね。カマラが政治的な立場からイスラエルを支持し、国民としてのイスラエル人を支持したい気持ちはわかる。だけど、彼女が話す方法というか、「イスラエルは被害者」みたいに伝えていたのがすごく気になった。 だって実際には、パレスチナ人の一方的な虐殺がおこなわれている現実があるんだよ。もちろん、10月7日のハマスの攻撃がきっかけだったとはいえ、その後はパレスチナに対する一方的な爆撃が続いているのに。 アメリカZ世代の多くはパレスチナを支持していることから、イスラエル支持のバイデン大統領の人気は低迷していました。だからこそ、ハリス氏がバイデン氏とは異なるパレスチナ問題への向き合い方をしてくれるのではないか、新しい政策を打ち出してくれるのではないか、という淡い希望を抱いていたのです。 もちろん、長いアメリカの歴史を見れば、方針の転換がいかに困難であるかは若者たちもわかっています。「彼らの反応からは、以前と同じように民主党の他のすべての価値観や考え方には100パーセント同意するけれども、パレスチナ問題だけは同意できない、という彼らの苦しい胸の内が伝わってきます」とZ世代専門家のシェリーは話しました。