中国発「マーラータン」ブームの仕掛け人となった石神秀幸、驚きの「こだわり抜かれた1杯」
日々、試行錯誤を繰り返す
トッピングに関しても、日々試行錯誤を繰り返している。意外性のあるものだと「きゅうり」。切り方などを工夫して、かなり美味しいものに仕上がったが、人気が出ずにやめてしまった。他にも「プロテイン」もあった。100種類以上を取り寄せて、もっとも合うものを探した。スープにココナッツミルクのようなクリーミーさが加わって、グリーンカレーのようで美味しかったそうだがこちらも人気が出ずに、販売を終了してしまった。最近、新たに出したのは「揚げ玉」。男性客を惹きつけるための「こってり」要素をトッピングで加えられないか、と思案して生まれたものだ。 「はじめは背油を加えたんですけど、あまり合わなかったです。いろいろ試して、蕎麦屋で出るような『揚げ玉』がいちばん合うと分かったんです。意外ですけど」
ウーバーでも「こだわりの一杯」を
新商品やトッピングの開発には余念がない。UberEatsもいち早く取り入れ、コロナ禍にもテイクアウトの売上を大きく伸ばした。UberEatsでチーパオを頼むと、春雨の茹で具合もちょうど良く、お店で食べるのとまったく変わらない美味しさの1杯をいただける。スープに浸った具材のうえに、フィルムが敷かれて、その上に麺が乗せられているのだ。春雨は茹だりすぎず、乾きすぎない絶妙な浸り具合になっていて、フィルムを外すとスープのなかにするするとほどける。 「中国ではもともとビニール袋に入れてテイクアウトするような食べ物で、春雨は他の麺に比べると伸びにくいし、テイクアウト向きだな、と思っていました。だから、Uberが日本に上陸したらすぐに取り入れました。コロナ禍は時短営業などで時間に余裕が出来たので、包材をかなり改良しました。『おうちでチーパオ』というテイクアウト・通販商品の開発もこの期間にかなり進みました」
自宅で楽しめるキットも
「おうちでチーパオ」は自宅で作る麻辣湯キットで、春雨・スープ・スパイスがセットになっている。開発にあたって、もっとも重視したポイントは「常温」で保存できること。冷凍だと、冷凍庫で幅を取ってしまうほか、送料も高額になってしまう。レトルトも考えたが、独特のレトルト臭を抑えることができず、試行錯誤を繰り返した末に現在のかたちに辿り着いた。フライパン一つ、わずか10分足らずでお店と変わらない味を楽しむことができる。