【総裁選2024】2回投票は必至⁉そこから見える自民党の「陰と陽」とは(記者解説)
イメージだけでなく政策に関する骨太な議論がカギ 候補者が「加速」するためには、どう動く?
水内氏は、さまざまな政策に関して骨太な議論ができるならば、どこまで知っているか、熱意はどのくらいなのかがにじみ出てきて、構図が変わる可能性があると指摘します。 水内氏「増税・減税のように生活の根幹に関わることを骨太に議論した結果、化けの皮が剥がれることは十分あるんだと思う」 林氏「候補者の目線でいうと、論争というのは失速と加速の両方なんですよね。この7,8人がどうなっていくか、非常に見所がある」 水内氏は、メディアの側もイメージに偏重してはいけないと自戒します。 水内氏「これから人間ドラマの素性が出てくるところを、先入観を持たずにやることが大切。受け取り方にしても、人が、この人がいいな、悪いなと思うポイントには、ちょっとした身のこなし方というのもある。思わぬことで支持率がぐっと悪くなることもある」 ネット配信も始まると、よくも悪くもいろいろなところが見えてしまいます。東京都知事選では、YouTubeがかなり作用しました。 林氏「そういう意味では、このメンバーに石丸さん的なムーブメントを起こす可能性のある人は、いるんですかね?」 今のところは、ぼちぼちと発信する場を設け始めたといったところでしょうか。論戦を深める方向に作用すればいいのですが…… ただ、今回の有権者は誰かというと自民党員です。林氏は、「党員は、とくに次の4つの政策をどう語るかを見ている」と指摘します。 ・政治とカネを始めとする党改革 ・憲法改正 ・経済 ・外交安全保障 水内氏「(立候補者)全員、憲法改正はやると言っているが、熱意の度合いは違う。憲法改正を党是としている自民党員に、しっかり値踏みされるのではないか」 林氏は解散総選挙の可能性についても指摘します。 林氏「解散総選挙がありそうだとみんな思っている。無党派層に響くような論戦ができたかどうかを加味しなければならない。自民党が変わるかもしれないという総裁選で、言っていることもやっていることも変わらないと思われては、新しい総裁が生まれても勝てない可能性がある」 上位3名(石破氏、小泉氏、高市氏)の論戦はどうなるでしょうか。 水内氏は総理大臣を選ぶ選挙であるという前提に立ってコメントします。 水内氏「石破さんと高市さんは国家観をしっかり持ち、これまでの総裁選でも明確にビジョンを示すタイプ。小泉さんは初陣ということもあるが、どういう国の形にしたいかをまだ発信していないせいもあって、わかりづらいところがありますよね」 若いなりの新しい国家の形を考えているのかもしれない。国の形をどうするのかのメッセージがもう少し欲しい、とリクエストします。 林氏「本格的な政権本が、小泉さんにはまだない。石破さんと高市さんは総裁選の経験もあり、網羅的な政策を見せることができるが、小泉さんは全体的な政策をどう見せるかは、最初の関門で最大の焦点」 同じく初陣となる上川さん、小林さんも? 水内氏「小林さんは選挙ドットコムに出演された時も骨太、保守的な考え方に基づいて、でも経済では財政出動中心。上川さんは、外交では一歩秀でているが、他の部分がわからない」 興味のある論戦は? 水内氏「小泉さんvs茂木さんとか……」 林氏「茂木さんや林さんは政策に通じているし実務能力もきわめて高い。その2人との論戦をきちんとやり取りできる小泉さんであれば、加速する材料になる」 「立候補者がどういう組み合わせで論戦をするかが、非常に重要」とコメントします。 林氏「私は高市さんvs小泉さんのやり取りを見てみたい」 水内氏「見てみたいですよね」 動き方とすれば、党員票が先? 1回目の投票で党員票にかなりの偏りが出るような時は、2回目も多少の影響が出ると言われていますが、 水内氏「これだけ候補が出て、いろいろ権謀術数の限りを尽くして、この先のポストがあるとなると、さっき林さんがおっしゃったような、次をにらんだパック売りのような戦いになってしまうのかな」 林氏「論戦を通じて、メディア各社も情勢調査もすると思うんですよね。2回目を含めた議員票に影響を与えると思います。なぜなら、すぐ先に解散選挙があるからです」 高く売って自分がいいポストを得ても、選挙に落ちたら……国会議員たちは帰ってこなければいけないという考えで動いていく、と推測します。 水内氏「自民党がただでさえ、支持率が低い中での総裁選。各議員はお尻に火が付いている。どうしても落ちるかがどうかが気になるので、そういう面の強い候補だけ押し出されてしまう」 林氏「衆議院は小選挙区なので……立憲民主党の盛り上がり具合も、誰が決まるか、立憲がどれだけ盛り上がったのかも27日の判断に必ずつながる」 注目ポイントが多すぎて、「気が早いんです」と訴えるゲストのおふたり。長い選挙戦、これからの動きにぜひご注目ください!