ライチョウ保護事業順調に 今年も中央アルプスで 「増やす」から「個体数を維持」へ【長野】
およそ半世紀ライチョウが絶滅していた中央アルプスで、今年も「親子」を保護する活動が行われました。天候不順に悩まされましたが、生息数は順調に増えています。 ■事業を指揮する信州大学・中村浩志名誉教授 「いまヒナがついばんでいるのが、コケモモの実ですね」 ロープウェーの駅から山を登っておよそ2時間、中央アルプス・木曽駒ケ岳周辺です。先月末までの1カ月間、環境省が野生の「3家族」をケージで一時的に保護しました。 天気が良い日中は外に出し、見守りますが… 「あ、警戒して!警戒! あれだ、あれだ」 「あれを撮影して。ノスリですね」 ヒナを襲う猛禽類が現れると手を叩いて、追い払います。 「第3ケージの家族、いまどこにいますか」 「第3ケージ中岳の崖側にいます」 捕食者や悪天候から守ることで、生後1カ月間の生存率を格段に上げてきました。 ただ、今年は、ケージに収容してもヒナにとっては厳しい環境が続きました。 ■事業を指揮する信州大学・中村浩志名誉教授 「梅雨の強風と雨が非常に厳しかった。これまでで一番厳しかった。収容した家族の8羽が死んで、ケージ保護しているひなは合計10羽ですね。やっぱり悪天候で体が冷えてしまった」 1羽の雌が見つかったことから始まった、中央アルプスでの「ライチョウ復活作戦」。 ケージ保護事業は2021年から始まりました。一帯の生息数は順調に増えています。 おととしは41、去年は83。今年は120以上の生息が確認されました。 ◆環境省信越自然環境事務所・小林篤さん 「右肩上がりになってきている状況ですので、増やすフェーズは終わりつつある、そういう意味合いでもケージ保護は最小限にとどめて、これから先は個体数を維持していくフェーズに入っていくのかと思います。比較的登りやすい中央アルプスでもライチョウが見やすくなっていることは非常に良いこと。ライチョウ側にストレスにならないかたちで是非観察してもらいたいと思います」 「復活作戦」が実を結び、中央アルプスは最もライチョウが観察しやすい山になりつつあります。