「空気」が決めたカタチ DS最上位モデル「No 8」初公開 航続距離750kmの高級EV
香水のような新しいネーミング方式
DSは12月12日、新型のフラッグシップモデル「No 8(N°8)」を公開した。デザイン、技術、マーケティングに対して新たなアプローチを追求した高級EVだ。 【写真】内装も斬新! 効率性を重視した流麗なデザイン【DS No 8を写真で見る】 (16枚) ステランティス傘下のDSブランドは、2024年に欧州での販売台数が25%減の3万5000台に落ち込むなど、販売面で苦戦を強いられている。業績を回復し、2031年までに収益目標を達成しなければ、ブランド閉鎖のリスクもある。 そのような重要な時期にデビューした新型No 8は、プジョー408やe-3008のようなファストバックスタイルを採用しつつ、パワートレインの選択肢はバッテリーEVのみとした。兄弟ブランドが同一モデルでEVと内燃機関を用意しているのに対し、DSはEVに的を絞った。 スタイリングとしては、2020年公開の「エアロスポーツラウンジ」コンセプトからインスピレーションを得たが、生産用に大幅にトーンダウンされている。 また、香水のNo 5やNo 19を販売するフランスのファッションブランド、シャネルに似た新しいネーミング方式をDSとして初めて採用した。現行車の車名は基本的に数字のみ。今後は、DS 3の後継車などにも新しいネーミングが採用される予定だ。 No 8は、STLAミディアム・プラットフォームをベースに、クラストップの空力性能という開発目標を掲げた。「これまでは、素晴らしいデザインを創り出してから、そのデザインを効率的にする方法を考えていたが、このクルマでは異なるプロセスを採用した。まず空力から始めたのだ」と、デザイン責任者のティエリー・メトローズ氏はAUTOCARに語っている。 「スケッチを始めた当初から、空力特性の専門家たちと話し合いを重ねた。『この部分にエッジを付けると空力特性が良くなる。これは必要ない』といった具合に。そして、本当に空力特性を中心にクルマとスペックを設計した」(同氏) そのため、No 8には風の流れを妨げないようにさまざまな工夫が施されている。最も顕著な例は、プジョー3008よりも60mm低い流線型のルーフラインである。結果として、空気抵抗係数は0.24(Cd値)となり、ライバルであるテスラ・モデルYの0.23にわずかに及ばないものの、ポールスター4の0.26よりも優れている。1回の充電での航続距離は最長750kmを実現。同じ97.2kWh(使用可能容量)のバッテリーを使用するプジョーe-3008ロングレンジよりも50km長く走行できる。 航続距離の追求は、車内にも表れている。通常のヒーターよりも5~10%少ないエネルギーで効率的に乗員の体を温めることができるとして、オープンカーに通常装備されるタイプのネックウォーマーをシートに搭載した。さらに、車内全体を加熱するよりも効率的であるため、シートヒーターも標準装備される。