デジタルアセット社、DTCCと共同で国債トークン化のパイロット実験
トークン化された担保資産の堅牢な機能性と潜在性を実証
ブロックチェーンソリューションの大手プロバイダーのデジタルアセット社(Digital Asset)が、米国金融市場に決済インフラを提供する大手金融企業DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)と共同で、米国財務省(UST)担保ネットワークのトークン化パイロットの結果を9月23日発表した。 同パイロットには4名の投資家、4つの銀行、2つの中央清算機関、3つのカストディアンが参加。この取り組みには、機関投資家向けブロックチェーンネットワーク「カントンネットワーク(Canton Network)」が起用された。 カントンネットワークは、プライバシーに対応した相互運用可能なオープンブロックチェーンだ。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)をはじめ、BNYメロン(BNY Mellon)、Cboeグローバル・マーケッツ(Cboe global markets)などにも採用されている。 実験で参加者は、14の「カントンネットワーク」のノードを運用し、10の分散型アプリケーションを通じて4種類のクロスアプリケーション取引を接続したとのこと。結果として参加者は100件の取引を無事完了させ、トークン化された担保資産の堅牢な機能性と潜在性を実証したという。 デジタルアセット社の最高事業開発責任者ケリー・マティソン(Kelly Mathieson)氏は、「このパイロットが無事完了し終了したことは、トークン化された資産を活用して担保を最適化できることを証明した」とコメント。また今回の実験が、「トークン化された担保が市場の透明性、差押えや清算のシナリオにおける所有権の法的確実性、担保化の迅速化や規制監督の強化など、実社会における多大な利点の改善に役立つことを示している」と続けた。 同パイロットは6月から7月にかけて実施され、米国債の「デジタル・ツイン」の生成や決済といった「複雑な現実世界での取引」の実現可能性をテストしたという。また、リアルタイムのマージンコールへの対応、資産回収、清算シナリオにおける担保権者の資産管理の証明についても実現可能性が証明されたと、デジタルアセット社は報告している。
あたらしい経済編集部