年末調整で生命保険の控除の提出がギリギリになり焦りました。保険料控除を申告しそびれた場合いくら損するのでしょうか?
年末調整や確定申告の際、所定の保険に加入している人は「控除」を受けられます。 税金の負担を抑えるチャンスですが、「面倒」「必要書類を紛失した」「期日に間に合わなかった」などの理由で、手続きをしないまま放置する人もいるようです。 保険料控除を申告しない場合、実質的に、本来は納める必要がないはずの税金を納めることにもなります。手続きをしそびれるといくら損するのか(手続きするといくら税金が安くなるのか)確認してみましょう。
保険料控除とは? 税金が安くなる仕組み
「控除」とは、税金を計算する際に個別の事情を反映させて税負担を調整するための仕組みです。控除が適用される条件にあてはまる場合、年末調整や確定申告を通して申告すると、税金(所得税と住民税)が安くなります。 保険料に関する控除には、以下の3種類があります。 ●生命保険料控除……生命保険(死亡保険や医療保険など)の保険料を支払った人が対象 ●地震保険料控除……地震保険の保険料を支払った人が対象 ●社会保険料控除……社会保険(健康保険や国民年金など)の保険料を支払った人が対象 基本的には、支払った保険料が多いほど税金が安くなる仕組みになっています。 家族名義の保険料を支払った場合なども対象になる可能性があります。控除を受けられるのに「知らなかった」「忘れていた」と手続きをしないままだと、もったいないかもしれません。
保険料控除で税金はいくら安くなる?
いくら税金が安くなるかは、「控除額×税率」で計算できます。それぞれの保険料控除額(控除の対象になる金額)は、以下のように決められています。 ●生命保険料控除……所得税:上限12万円、住民税:上限7万円※ ●地震保険料控除……所得税:上限5万円、住民税:上限2万5000円 ●社会保険料控除……支払った(もしくは給与等から差し引かれた)金額の全額 ※加入している保険の種類ごとに一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つに分かれ、それぞれ所得税は上限4万円ずつ、住民税は上限2万8000円ずつ(2012年以降に契約した保険の場合) 税率は、住民税は一律10%ですが、所得税は所得に応じて5~45%まで7段階に分かれています。 ●課税所得 1000円~194万9000円 : 5% ●課税所得 195万円~329万9000円 : 10% ●課税所得 330万円~694万9000円 : 20% ●課税所得 695万円~899万9000円 : 23% ●課税所得 900万円~1799万9000円 : 33% ●課税所得 1800万円~3999万9000円 : 40% ●課税所得 4000万円~ : 45% ※課税所得は1000円未満の端数切り捨て 日本では納税者の約6割が所得税率5%に該当します。 例)所得税率5%で、保険料が月1万円の死亡保険に加入している人の場合 ●生命保険料控除の対象になる金額(所得税):4万円(上限4万円のため) ●生命保険料控除の対象になる金額(住民税):2万8000円(上限2万8000円のため) ●所得税の軽減額:4万円×5%=2000円 ●住民税の軽減額:2万8000円×10%=2800円 ●軽減される税金の合計額:4800円 上記の場合、年末調整か確定申告で手続きすることで、税金が4800円安くなります。