“コンビニの父”鈴木敏文が感心した100円ショップの誕生秘話とは?
1970年代に「セブン-イレブン」を立ち上げ、業界ナンバーワンに育て上げた鈴木敏文氏。一方、「100円ショップダイソー」で100円ショップの草分けとなった大創産業の創業者である矢野博丈氏。小売業の新分野を切り拓いた2人は、大学の先輩・後輩であり、長年の親交があった。本連載では、『一生学べる仕事力大全』(藤尾秀昭監修/致知出版社)に掲載された対談「不可能を可能に変える経営哲学」から内容の一部を抜粋・再編集し、両氏によるビジネスと経営についての対話を紹介する。 第1回は、2人の出会いと交流、100円ショップの誕生秘話を紹介する。 ■ 中央大学の先輩と後輩 矢野 鈴木会長、お忙しいところありがとうございます。僕みたいな身分の違う格下の者と対談していただいて。僕はずっと鈴木会長と呼んできましたから、そのほうが落ち着くので、きょうも会長とお呼びしていいですか? 鈴木 いま(2018年)は名誉顧問という肩書になっているけど、まぁなんでもいいですよ(笑)。ところで、矢野さんとは古い付き合いだから忘れちゃったけど、どういう出逢いだったんだろう? 矢野 いまから15年くらい前に、流通ジャーナリストの緒方知行先生から鈴木会長のことを聞きよったんです。 鈴木 ああ、そうか。 矢野 緒方先生は商業界の取締役編集局長を務めた後、独立されたんですよね。小売業をハード面ではなく心で捉(とら)える方で、鈴木会長のことについて書いた本をたくさん出されましたね。 商業界:かつて日本の小売・流通などに関する書籍を刊行していた出版社。 鈴木 そう。彼とは若い時から親しくしていましてね。私の仕事に興味を持って、いろいろ取材してくれた。じゃあ、そのご縁で矢野さんと知り合ったのかな。 何しろ矢野さんは人を愉快(ゆかい)にさせる性格ですから、魅力的な人物だなというのが第一印象でした。そうしたら、たまたま中央大学の後輩だと言うのでね。 矢野 同じ大学というのは嬉しいですよ。鈴木会長はもう雲の上の存在ですけど、その方が東大出身ではない。これは希望が持てます。