再雇用で年収750万円→400万円見込の59歳・定年直前サラリーマン。「やってられるか」と恨み節も…65歳までもらえる!?「特別な給付金」に歓喜【CFPが解説】
Aさんがもらえる「給付金の額」は…
Aさんの給与は先述のように、 <現在> 年収:750万円(月収:50万円、賞与:年間150万円) <60歳以降(見込み)> 年収:400万円(月収28万円、賞与:年間60万円程度) となっています。 Aさんの場合、計算上「50万円」ではなく、賃金の上限額として設定された48万6,300円(2023年8月~2024年7月までの場合)が基準となるため、Aさんの給与は48万6,300円→28万円に低下するということに。よって、60歳以降の給与は定年前と比べて61%以下となります。 給与額が61%以下になると、賃金の15%が給付金として支給されます。よって、Aさんの高年齢雇用継続給付は28万円×15%=4万2,000円。 Aさんには毎月4万2,000円支給されることがわかりました。これは年間に直すと50万円以上の給付金が支給されることとなり、65歳まで受給できれば合計250万円以上となります。 給与が下がってしまうことに変わりはないものの、「高年齢雇用継続給付」の存在を知ったAさんは、「けっこう大きな額だな。支給されるかされないかでは大きな違いがある」「これで足りない分を少しは補えそうだ」と安心したそうです。 法改正により、2025年度以降に60歳になる人の支給率は最大15%ではなく最大10%となりますが、Aさんの場合は2024年度で60歳になるため、最大15%の受給が可能です。 反対に、60歳で完全リタイアしてしまえば、給与収入がなくなるのはもちろんのこと、この給付金も受けられなくなります。
再雇用で働くと「年金」も増やせる
60歳から引き続き5年間勤務できると、他にもいいことがあります。60歳から65歳まで5年間勤務すれば、そのあいだ厚生年金保険料を掛けることになりますが、その分65歳からの年金額も増えるのです。 人生100年時代の昨今、5年分年金を増やせれば、退職後の年金生活もより安心できるものになります。Aさんの場合、60歳でリタイアするより65歳まで働いたほうが、年額20万円程度年金が多くなる見込みです。 もともとそんなに働き者ではないと自認するAさん。「早めにリタイアして自由な時間を増やし、夫婦で旅行でも行こうよ」と言いましたが、Bさんから「旅行なんて頻繁に行くものでもないでしょう。仕事をしながらでも、有給休暇を使って旅行に行けばそれでいいじゃない」と言われ、納得。 「そうか。結局余った時間はなにをして過ごしたらいいかわからなくなるかもしれないし、あと5年だけ頑張ってみるか……」と考えるようになりました。 後日、Aさんは改めて会社から定年後の再雇用のこと、高年齢雇用継続給付について説明を受け、再雇用としての雇用契約を結んだそうです。
定年前は「将来の家計の収支」を考える時期
かつては「60歳定年・60歳から年金受給」が常識でしたが、いまや65歳まで勤務するのが当たり前の時代になりつつあります。 定年が近づいている人は、60歳から受け取れる雇用保険の給付や退職後の年金のことも含めて、将来の家計の収支を考えておきたいところです。 井内 義典 株式会社よこはまライフプランニング代表取締役 特定社会保険労務士/CFPⓇ認定者
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