初代ホンダ CR-Xはどこまでもカッコ良く乗って楽しいクルマだった!
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。 岡崎宏司の「クルマ備忘録」 息子(岡崎五朗)さんが18歳で免許を取った時、筆者が専用のクルマとしてプレゼントしたのが初代ホンダ CR-Xでした。実は誰よりも自分が乗りたかったCR-Xはカッコ良くて楽しくて、岡崎家の3台目のクルマとして家族のカーライフを幸せな思い出で彩ってくれました。
息子への免許取得プレゼントはホンダ CR-X
息子が運転免許証を取ったのは1984年6月。18歳になった誕生日のすぐ後。 前にも書いた通り、僕は教習所には行かず、独力? で免許を取った。でも、息子の時代にもうそんなことはできなかった。 なので当然教習所に通ったが、なんのつまづきもなく、最短で免許を手に入れた。文句なしのスタートだった。
当時のわが家の愛車はアウディ 80クアトロと、スバル レオーネ ツーリングワゴン 4WD。この2台を親子3人で回すこともできたが、僕は初めから息子専用のクルマを買うことに決めていた。 僕は仕事でフル回転。原稿を書くとき以外はほとんど家にいなかった。息子も免許を取ったとなれば、家で大人しくなどしているはずはない。 となれば、家内の乗るクルマがなくなる。家内も活発で、よく外に出ていたし、クルマが自由に使えないとなると可哀想だ。 そんなことで、息子が免許を取ったら、3台目を買うことに決めていた。それに、3台目として「絶対にほしいクルマ」があった。 息子のクルマとして最適だと思うと同時に、僕もまた乗りたくて仕方がないクルマがあったのだ。それは初代「ホンダ CR-X 」。 単純に言えば、シビックのホイールベースを短くしてコンパクトなHBクーペに仕立てただけ、、、と言えないこともない。
でも、僕にはとてもカッコよく見えたし、軽快な身のこなしは、まさにスポーツカーのもの。文句なく楽しかった。 CR-Xは2代目、3代目と続いていくが、僕も息子も初代がいちばん好きだった。あれこれ小細工などしない、シンプルでコンパクトで引き締まったルックスがカッコよかった。 とくに上部が白、下部がグレーの2トーンの精悍なイメージが気に入って、初めからボディカラーはこれに決めていた。 息子のクルマなのに、自分のクルマのように夢中になった。でも、僕の意見に息子が首を横に振ることはほぼなかった。たぶん、好みはほとんど共通していたのだろう。 CR-Xの定員は4人。だが、事実上は2シーターと言えるほど後席は狭い。ホンダもそれは認めていて、「ワンマイルシート」、、「無理やり乗っても1マイルが我慢の限界」と自ら公言していた。