為替介入は国を守る戦い「必要があれば制限なくやる」 通貨政策を指揮する神田財務官にインタビュー
「私は、為替や金融政策に限らず、米国を含めて各国とは本当に毎日のように話し合っています。各国当局とは極めて緊密に意思疎通しており、国際合意も順守しているので、各国からの批判は出ていません。これからもしっかりと緊密な連携を続けていきたいと思っています」 ―円買いの為替介入では市場で外貨を売ります。原資となる日本の外貨準備は約200兆円です。限界があるのではないでしょうか。 「外貨準備が介入原資の基本であることは事実ですけれども、必ずしもそれに限られるものではありません。他に何があるのかというのは申しませんが、今後も必要な対応をとる上で原資に限界があると認識したことはあまりありませんし、そもそも200兆円を使うような事態は全く想定していません」 ―為替介入の回数や頻度に制限はないということですか。 「必要があればやるしかないですよね。投機ですごく変動があったら、それはもう戦いですから国を守る。それはもう制限はないです」
▽国際協調の分野で日本への期待は高い 財務官は為替政策の場面でメディアに登場することが多いが、財務省に関連する国際業務全体を総括する。近年は、ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動問題、国際租税など各国との協調が欠かせないテーマが増えている。昨年は日本が先進7カ国(G7)と東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3の議長を務めた。 ―海外の政府高官とはどのようにコミュニケーションをとっていますか。 「コロナ禍を経てオンライン会議が激増しました。もちろん対面の会議も復活しています。確認してもらったら、財務官になって60回以上も海外出張をしていました。幸いなことにカウンターパートの政府高官や国際機関のトップの人たちは数十年来の友人が多いのです。何か困ったら電話、メールなどいろんな手段で気軽に相談しています。もちろん内容によっては機密保持のため特別なルートを使います」 ―世界情勢の不透明感が高まっています。日本が果たすべき役割は。