名古屋城・金シャチ、16年ぶりに“地上降臨” コロナ禍の観光振興に
名古屋城天守の金のシャチホコを地上に降ろす作業が、8日朝に行われた。金シャチが地上に降ろされるのは、愛知万博のあった2005年以来、16年ぶり。観光振興のため、城内や名古屋市内中心部で7月まで特別展覧される。 名古屋城の金シャチ16年ぶりに地上へ(2021年3月8日)
ヘリコプターで吊り下げ
江戸時代に建造された名古屋城は太平洋戦争の空襲で焼失。1959年にコンクリート造で再建され、2体の金シャチも天守の屋根によみがえった。 以来、戦後復興や市のシンボルとして親しまれ、1984年の名古屋城博と2005年の愛知万博(愛・地球博)の際に地上へ降ろされ、汚れを落としたり、市民が間近で見られるよう展示されたりした。 3度目となる今回の“地上降臨”は、コロナ禍の観光振興や、河村たかし市長がこだわる天守木造化の機運を高めるために企画。市民が城内で作業を見守った前回とは違い、今回は城内に入るのは報道陣に限定したが、城外の公園などには16年ぶりのイベントを見ようとする市民が集まった。 天守台を含めた高さ約55メートルの天守の屋根には、前日までに足場が組まれ、2体の金シャチもそれぞれに鉄骨の仮枠で囲まれていた。小雨がぱらつく天候の中、予定を早めて午前8時前にヘリコプターが天守へ。金シャチを仮枠ごと上空へ吊るし、2往復して2体を城に隣接する愛知県体育館前に降ろした。
河村市長「平和のシンボルとして見て」
金シャチは北側のオスが高さ約2.62メートル、重さ約1.27トン。南側のメスは高さ約2.58メートル、重さ約1.22トン。表面は厚さ0.15ミリの18金のうろこ百数十枚で覆われている。降ろされたばかりの金シャチは、全体に黄金色に光り輝き、背びれや尾びれなどのディテールも精巧に見えた。 現場に立ち会った河村市長は「金シャチは、徳川家康が『もう戦争をやめよまい』という平和のシンボルとして造ったという説もある。そういう気持ちで見ていただくと、世界にアピールできる」などと話した。 金シャチは3月20日から城内で始まる「名古屋城金鯱展」や名古屋城の木材が切り出された長野県木曽町や岐阜県中津川市での特別展示などを経て、4月10日から7月11日まで市内中心部の栄・久屋大通公園内のコミュニケーションスペース「ミツコシマエ ヒロバス」で特別展覧される予定だ。 (関口威人/nameken)