山本由伸は、激しい地区優勝争いとプレーオフの真っただ中で復帰する
長い時間をかけ、万全を期して復帰する日が近づいている。ドジャースの山本由伸投手(26)が右肩の腱板を痛め、負傷者リスト(IL)に入ったのが6月16日。2カ月以上が経過した。リハビリ過程は順調でブルペン投球、ライブBP(実戦的な投球練習)をこなし、8月28日には傘下3Aオクラホマシティーの一員として、敵地ラウンドロックで2イニングのリハビリ登板に臨む。
「順調にきていると思うので、少しずつ(メジャー復帰が)近づいていると思います」
8月21日には、ドジャースタジアムで負傷後2度目となるライブBPをこなした。2イニング想定の打者8人に安打性1本、4奪三振、最速は96マイル(約154・4キロ)を計測した。
オリックス時代にはなかった長期離脱。IL入りする前の時点で6勝2敗、防御率2・92とメジャー1年目で堂々たる成績を残していた。9月の中旬ごろまでにはマウンドに帰ってくる見込みだ。ドジャースは地区優勝の3連覇をかけ、パドレスとダイヤモンドバックスと激しい優勝争いの真っただ中。そこに山本由伸が戻ってくる。
「試合にまた近づいた。ひとつずつ、近づいています。少しずつ(メジャー復帰が)近づいていると思います」
日米メディアの取材対応では多くを語るタイプではない。短くシンプルなワードから、着実ながら慎重に段階を踏んでいる状態がうかがえる。
傘下のマイナー戦での登板は、3Aで行う。リハビリ登板とはいえ、メジャーレベルに最も近い相手との勝負で投じるボールの精度や強さをチェックする。自身の状態だけの確認なら、移動負担が少なく、日帰りで行けるロサンゼルス郊外の1Aで投げる選択肢もあったはずだ。チームはテキサス州ラウンドロック遠征を課し、3Aの打者たちとの対戦を求めた。ドジャースの球団幹部が、慎重にリハビリを進めつつ、同時に一刻も早い復帰を望んでいる意図を感じ取ることができる。
すでに練習では不安なく強度の高いボールを投げている。遠投やキャッチボールではフォームと感覚を入念に確認している。山本は言葉にしていないが、戦線離脱した悔しさ、責任感も感じていることだろう。ワールドシリーズまで戦うことを見据えれば、10月末まで厳しい戦いが待つ。