高輪ゲートウェイ駅周辺の「再開発」 JR東日本のプレスリリースが抽象的でよくわからないので、自分なりに調べてみた件
最大50億円投資で品川革新
では、何が新しいのか。プレスリリースなど、これまで公表されている情報から専門用語をできるだけ省き、簡潔にまとめると次のような目的が見えてくる。 1.「地球益」という新しいコンセプトを提案し、100年先を見据えた循環型社会や持続可能な開発を重視する。 2.環境、モビリティ(ロボット)、ヘルスケア分野のスタートアップを対象に、最大50億円規模の投資ファンド「高輪地球益ファンド」を設立。街全体を実証フィールドとして活用し、品川地域をイノベーションの拠点にする。 3.都市全体のデータを統合する「都市OS」を導入し、鉄道データ(列車運行状況や混雑情報)や人流データを組み合わせて、訪問者に快適なサービスを提供。データを活用して、ロボットプラットホームを導入し、警備や清掃、デリバリーの効率化を図る。 特に注目すべきは、3の「都市OS」の導入だ。 都市OSとは何か。藤田範人・藤田健司・田代統による論文「スマートシティの普及・発展を支える都市OS」(『電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン』16巻2号)では、その概念を次のように説明している。 「スマートシティの実現においては、都市サービスに必要となるデータの連携・利活用をいかに効率的 に行うかが鍵となる。このデータ連携・利活用の機 能を個別のサービスごとに実装するのではなく、コンピュータのOS のように共通基盤として用意し、あらゆるサービスをその上に実現できるようにするものが「都市 OS(City OS: Operating System)」 である」 つまり、スマートフォンやパソコンにOSがあり、そのなかでさまざまなアプリが動作しているように、都市OSは交通、天気、建物の管理、人の流れ(人流)など、都市内のあらゆるデータをひとつのシステムで管理し、効率的にサービスを提供する仕組みだ。 2024年現在、日本ではいくつかの導入事例がある。例えば、和歌山県南紀白浜エリアでは、空港で顔情報とクレジットカード情報を登録すると、ホテルや商業施設、オフィスなどに設置されたカメラが顔情報を検出し、個人を特定。その情報を基に、決済の自動化や出迎え業務などに利用されている。