「自分でやったほうが早い病」かかる人の“根本原因”。リーダーがこう考えると、組織はダメになる
「プレイヤーとしては優秀だけど、リーダーとしては全然ダメだね」などと評価されてしまう不幸な行き違いが、今もあらゆる職場で起きています。こうした”よくある行き違い“は、なぜ起きてしまうのでしょう? 国際コーチング連盟の認定プロフェッショナルコーチとして、通算2500時間以上のコーチングセッションを行ってきたあべき光司氏は、組織内での役割が変わることで起こる、求められるスキルの変化を認識する重要性を指摘します。同氏の著書『リーダーのためのコーチングがイチからわかる本』から一部抜粋・再構成してお届けします。 【画像を見る】役職が上がるとルールも変わる。組織を3つに分けて、それぞれの役目を考えよう
■「自分でやったほうが早い病」にかかる 経営者やマネージャーなどのリーダーの中には、「自分でやったほうが早い」と思って、部下にやらせずになんでも自分でやってしまう人がいます。 「自分でやったほうが早い病」と私は呼んでいますが、リーダーがこの病にかかってしまうと、その組織はダメになります。部下がやるべき仕事をリーダーがとりあげると、リーダーも部下も、どちらも成長できなくなるからです。 人には段階に応じて役割があります。
大学を卒業し、社会人としての第一歩を踏み出した新入社員は、速く正確に担当の仕事をする能力が求められます。 しかし入社して何年か経つと、求められるものが変わり、部下の育成やマネジメントが新たな要素として加わります。 さらに役職が上がると、組織全体を運営する能力が求められるようになります。 ところが多くのビジネスパーソンは、自分の役職が上がるごとにルールが変わることに気づいていません。 だから、マネージャーになっても、部下に仕事をやらせるのではなく、それまでと同じように自分で実務仕事をしてしまいがちです。
そうすると急に周りから評価されなくなるので、「自分はこんなに一生懸命やっているのに、会社は認めてくれない!」と落ちこむことになるのです。 ■職位や役割を説明する「カッツ理論」 そうした「職位の変化による役割の変化」を説明した理論として、ロバート・カッツ(Robert Katz)が提唱した「カッツ理論」があります。 その理論を元にした「カッツモデル」では、組織を縦に3つのレベルに分けます。ローワーマネジメント、ミドルマネジメント、トップマネジメントです。