英小売売上高、8月は予想上回る伸び-前月も上方修正
(ブルームバーグ): 英国の8月の小売売上高は、勢いを増した。好天と夏のセールを狙った消費者の購買意欲が強く、政治や財政に対する不安を打ち消した。
英政府統計局(ONS)の20日の発表によると、実店舗のほかオンラインを含む小売売上高(数量ベース)は前月比1%増。食品や衣料品への消費者の支出が増加し、エコノミスト予想の0.4%増を上回った。7月は0.7%増に上方修正された。
ONSのチーフエコノミスト、グラント・フィッツナー氏は「暖かい天候とシーズン末の販促が、特に衣料品店や食料品店の売り上げを顕著に押し上げた」と述べた。
8月上旬にイングランドの一部で発生した反移民暴動や、厳しい財政的決断を今後下す可能性があるとのスターマー首相の警告があったにもかかわらず、同月に英国の消費者は楽観的だったとみられる。
一方、20日に発表された9月の消費者信頼感指数はマイナスに転じた。調査会社のGfKは、労働党政権の税制と歳出計画に対する懸念が影響したと指摘している。
マッキンゼーのパートナー、トム・ユルドン氏は「必需品や準必需品への支出意欲は見られるが、高額商品の購入を先延ばしにしている消費者の姿が消費者信頼感の低下に表れている可能性が高い」と述べた。
ただ過去数カ月間は、衣料品や食料品など一部の必需品価格の上昇が落ち着く一方で、賃金はインフレ率を上回るペースで伸びている。また、好天も食料品の売り上げを押し上げ、食料品販売は2021年以来最大の前年比増加率を記録した。
8月の小売売上高は前年同月比では2.5%増加し、2022年2月以来の大幅な伸び。全体の販売数量は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に記録した20年2月の水準をほぼ回復した。
原題:UK Retail Sales Beat Expectations During August Sunny Spell (1)(抜粋)
--取材協力:Aline Oyamada、Mark Evans、Joel Rinneby.
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Irina Anghel