駅伝秘話! 逆風の水産加工業が生んだ「起死回生の魚コラーゲン」後編
駅伝と経営の意外な共通点とは
●駅伝と経営の共通点 ダイトー水産がスポンサーを務めた出雲駅伝では、國學院大学が最終6区のアンカー勝負で駒澤大学を引き離して優勝を飾った。 続く全日本大学駅伝でも國學院大学が初優勝を果たし、箱根駅伝では三冠を目指す。取材の最後、ダイトー水産から焼津駅に向かう途中も、駅伝トークで盛り上がった。 「私自身は学生時代に陸上競技をやっていましたが、『オレは摂取す』を開発する前は、学生駅伝のことをほとんど知りませんでした。趣味も会社も人生も、この10年で大きく変化しました。今では、学生駅伝の大ファンで、駅伝には毎年、本当に感動させられます。箱根に出るような選手は、文化放送さんのSNSでチェックしています」 2008年に参入したコラーゲン事業は、今では会社全体の15%程度を占めるまで成長している。 漁獲量の減少で水産加工事業がより不安定になっていることを踏まえると、決して安泰とは言えない。それでも、齋藤社長の表情は明るい。 「東洋大学の学生たちと接していると、色んな学びがあるんですよ。駅伝に出る子も出られない子 もそれぞれにドラマがある。良い時も、悪い時もある。それでも皆、前を向いて懸命に走っている。会社も同じですよね。懸命に前を向くしかないんです」 「ずっと長い間、苦しみながら、失敗もしながら、思うようにいかないジレンマと戦いながら人生を歩んできました。もう二度とそこには戻りたくありません。今後も色んな課題に直面するでしょうけど、乗り越えていきます。息子たちは会社を継がないって言ってるんですけど、水産加工以外も営む、ユニークな会社になれば変わってくれるかもしれませんね」(齋藤社長) 駅伝と同じように、会社経営にもドラマがある。成功と失敗を繰り返し、時に賞賛され、苦悩を乗り越えながら、会社を引き継いでいくものだ。 先代から受け継いだダイトー水産の襷を、齋藤社長はどのように次世代に繋ぐのか。戦いはまだ始まったばかりだ。
Forbes JAPAN 編集部