駅伝秘話! 逆風の水産加工業が生んだ「起死回生の魚コラーゲン」後編
大学駅伝監督から届いた1通のメール
ビジネスチャンスはいつも思わぬところからやってくるものだ。 サッカー選手を中心に販売していた『オレは摂取す』だが、火がついたのは陸上コミュニティだった。SNSで著名トレイルランナーが絶賛し、「スタミナ維持に役立つ」と愛用者が広がっていった。 そして、飛躍のきっかけは突然訪れた。 ●東洋大・酒井監督からのメール 「ある日、いつも通りに仕事をしていると一通のメールが届いていました。差出人は、東洋大学の酒井俊幸監督。『オレは摂取す』に興味があると。最初はイタズラだと思ったんですが、調べるとどうも本人らしい。すぐに東洋大学に伺いました」(齋藤社長) 酒井監督といえば、東洋大学を3度の箱根優勝に導いた名将だ。『オレは摂取す』の存在を知っ 興味を持ち、ダイトー水産に連絡をしたという。 「『オレは摂取す』を選手たちに試してもらったところ、大変好評とのこと。コラーゲンの品質や実感を高く評価して頂きました。お忙しい方なので一時間で商品の魅力を伝えようと思ったら、意気投合して三時間くらい喋っていました。僭越ながら、組織論や人生などについても考え方が似ているなと思いました」(齋藤社長) 以降、ダイトー水産は東洋大学に『オレは摂取す』でサポートし、選手は愛用し続けている。そして、東洋大学が愛用していることが広がることで、陸上界での認知もさらに拡大していった。 ●魚が獲れない。水産加工の危機 一方で、本業の水産加工ビジネスは、徐々に追い込まれていた。 環境変化によってまぐろの漁獲量が大きく減少し、コアビジネスである水産加工事業が苦境に立たされていたのだ。 「『オレは摂取す』の認知が徐々に広まり、2023年に販売数が急増しました。ようやくコラーゲンビジネスがひとり立ちしたかと思いきや、本業が今までにないほど危機に陥ってしまいました」(齋藤社長) ジリジリと漁獲量が減少する中でも、とりわけ厳しかったのが2022年と2023年だ。 22年の売り上げは前年から15%下落。それだけでも厳しいが、23年の落ち込みはさらに激しく、22年比で40%以上も減少している。 それでも、なんとか経営を維持できたのは、コラーゲンビジネスが数千万円規模に育っていたから。売上が数億円の中小企業にとっては巨大ビジネスである。 「水産加工事業は、これまでにないほどの漁獲量の落ち込みで本当に厳しかった。その状況でコラーゲン事業が成長してくれた。なんとか間に合って助かった、というタイミングでした」(齋藤社長) 翌24年には、漁獲量が少し持ち直し、会社としてコラーゲン事業への投資余地もわずかながら確保できた。そうした中での、文化放送からの出雲駅伝スポンサーの打診だった。 「もし文化放送さんからのスポンサーのお話が一年早ければ、水産加工の不調で資金を捻出できず、お受けできませんでした。コラーゲン事業の成長、水産加工の復調、スポンサーとすべてが奇跡のように繋がりました」(齋藤社長)