日本上陸! 無料で楽しむ次世代ストリーミングテレビ「FAST」がもたらす新たなタッチポイント
一度チャンネルを選択すると、テーマに沿った番組が延々と放送される。「YouTube」や「TVer」といったオンデマンドストリーミングサービス、あるいは「Netflix」や「Amazon Prime Video」といった有料動画配信とは異なり、膨大なコンテンツの中から「見たいコンテンツを検索・選択する」というアクションが不要になるのだ。 ┌────────── Google社いわく、多くの視聴者は“番組を検索する”という行為を面倒に感じ、避ける傾向があるそうです。キーワードなどで検索するのは、よほどモチベーションが高い一部の人のみ。テレビを見る感覚で好みのジャンルだけを選べばいいFASTは、多くの人にとって楽な視聴スタイルと言えます(福﨑氏) └────────── BBM社の調査では、FASTの視聴スタイルが北米で受け入れられていることが数値で示されている。北米でスマートTVを視聴している世帯の総視聴時間は、約32%が「従来のテレビ放送」、約30%が「有料動画配信」、そして約24%が「FASTサービス」となっている(2022年の実績)。2023年はFASTサービスの割合がさらに伸長し、有料動画配信・テレビ放送・FASTサービスが、3:3:3の割合に近づいているそうだ。
広告収入で成立するビジネスモデル。収入は3者でシェア
FASTチャンネルは広告収入のみで成り立つビジネスモデルで、視聴料は無料となる。というのも、FASTチャンネルでは1時間に10分の広告枠があり、従来のテレビの基準である6分よりも広告放送時間が長い。YouTubeのように広告をスキップする仕様も存在しないため、安定して広告収入が得られるという。
得られた広告収入は、システムを運営するBBM社、FASTチャンネルサービスを展開するプラットフォーマー、各チャンネルを運営するチャンネルキュレーターの3者でレベニューシェアをする。
3者それぞれの役割は以下のとおりだ(レベニューシェアの割合は非公開)。 ■ 1.システム運営【BBM】 FASTチャンネルを運営するためのシステムを構築し、システムや広告の運用、及びコンテンツ登録を行う。 ■ 2.プラットフォーマー【各事業者】 FASTチャンネルの運用・宣伝を担当し、配信するチャンネルを選定し、自社で抱えている会員に対してFASTチャンネルをプロモーションする。プラットフォーマーに該当するのは一定数の会員を持つ企業で、エネルギー事業者や通信回線事業者、ポイントサービスの運営企業などが当てはまる。各社がそれぞれのFASTチャンネルを独自運用することになる。 ■ 3. チャンネルキュレーター【各事業者】 チャンネルのテーマに沿って番組を編成する。自社で制作するほか外部から番組を仕入れることも可能で、編成は各チャンネルキュレーターに委ねられている。番組の内容はYouTubeのレギュレーションに準拠する。 ┌────────── プラットフォーマーにとっては新たな収入源となり、自社ユーザーに対してエンタメサービスを提供できる点が魅力でしょう。チャンネルキュレーターにとっては、番組の権利さえあれば、テレビ局やABEMAのように巨大な配信システムを持っていなくとも放送を即開始できるのは画期的だと思います(福﨑氏) └──────────